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おデブちゃんの肥満外来体験記

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栄養指導・実践編



男に振られて自暴自棄になっていた私ですが
レコダイを付けることによって、自分を見つめ直さなければ
ならない時がやってきました!

朝食
食パン マーガリン サラダ ごまドレッシング 目玉焼き
昼食
あんパン(ミニ4個入り) 肉まん
夕食
焼きそば
間食
ポテトチップス(一袋)
キャンディ(二粒)
スルメイカ(四枚)

毎日そんな表記が並びます。
(何なんだろうこれは……)
小学生でも分かるバランスの取れて無さです。何というか、こう……
「そりゃ太るわな」と言った感じです。
まず、炭水化物が多い!
野菜が少ない!
タンパク質も少ない!
間食および脂質が多い!
「こりゃダメだ、栄養士の渡辺さんに見せられない」
そんな考えが脳裏に浮かびます。
------話は十数年前に遡ります。授業をろくに聞いてなかった私は
たびたび宿題を忘れ------

もういいって。

とにかく、今度の宿題は忘れて行くわけにはいかないのです。
ということは、見せられる宿題にしなければならないと言うこと。
私は冊子を持って行き、母に言いました。
「お母さん、今日からご飯は野菜たっぷりにして欲しいの。私も手伝うから」
「ええっ今までも野菜多かったはずだけど(汗)」
「それが、もっと多く無いとダメらしい……(汗)あと、炭水化物が
多すぎるみたい」
うちは母の家系が太らない体質、離婚した父の家系が太る体質です。
すなわち、母の基準で食べていたら私は痩せられないということ。
「難しいんだねえ。野菜、多いと思うんだけどねえ」
母はぶちぶち言いながらも、その後、野菜を増やしてくれたのでした。
小鉢が増えたわけではなく、焼きそばに野菜を大量にぶち込むとか、
豪快な方法でしたが……。


その頃から、母と私では認識にズレがあったような気がします。
私は18〜19の頃、1年半かけて、ぽっちゃりから自力で15キロ痩せた
経験の持ち主なので、まともにやればスピード痩せなんかしないと知っていますが
母は太ったことがない人なので
肥満外来に行ってお金と時間をかけて努力すれば
1年で20キロくらい痩せる物と思っていたみたいなのです(汗)
ダイエットに対する認識が甘かったというか、
それは太ったことのない人に共通する考え方なのでしょう。
それが「停滞期」という魔の時期にさしかかったとき
悪い事態を引き起こすのですが、その話は後日。


二週間後、私はひとり冊子をひっさげてN大学病院へ。まずは本永先生の
診察を受け、つづいては渡辺先生です。
「よく書けてますね!」
渡辺先生は賞賛しました。レコダイの小さなマスは真っ黒に埋まっていました。
きちんとおおよそのカロリーも書いてあります。
「ほほう、これはこれは……」
渡辺先生は口をタコのようにすぼめながらレコダイをとくと見ます。
私は恥ずかしくて穴があったら入りたいくらいでした。
「一応、お好み焼きがキャベツたっぷりだったりするのですが……」
おそるおそる、言い出したりします。卑屈なくらい低姿勢です。
「まず、問題点をまとめてみましょう」
渡辺さんは朗らかに言いました。
「うーん、間食が多いですね(汗)」
小さなマスの中にいっぱい書かれたおやつと言う名の魔物。酒の次に
私の敵です。
「一目見て間食が多いって分かりますね(汗)」
「それが記録することの良い所なんですよ♪」
本当、はっきりと分かります。自分の自堕落さが……。
「このポテチ一袋というのは、普通サイズですか」
「はい」
「ポテトチップスはほとんどが油脂なので、食べないに越したことは
ありませんが、これを小袋にすると200kcal以内に収まるんです」
新たな目標、ポテチは小袋! 68円! 経済的です。
「いっぱい食べてしまうようですが、おやつは一日ひとつに決めましょうか」
「そうですね」
新たな目標、アメは食べない! 
おやつはひとつにまとめる!
すでに泣きそうです。 
「食事内容については、この一週間を見てみますと、わりと出来ている日が
週に3回くらいありますね」
言い忘れてましたが、表は一週間が一度に見られるようになっています。
「まい子さんは、お食事は普通に食べられてるんですね。過食等は無いので
間食さえなんとかすればカロリーは抑えられるんですが……カロリーは、
の話ですが。健康的に痩せるにはカロリーだけでは足りません」
「野菜が少ないですね……」
「はい。あと、タンパク質が多いです。消費されないタンパク質は
脂肪になってしまうので、ダイエットにはマイナスです」
えっ、タンパク質、少ないのかと思ってたよ……。
渡辺さんが言うには、一食に豆腐と納豆とお肉を一緒に食べたりしたら
タンパク質が過剰すぎて脂肪になってしまう可能性大だとか。
(注意・運動量が多い人は高タンパクを心がけて下さい)
……ええい、豆腐と納豆がヘルシーだなんて言ったのはどこのどいつだ!
「もちろん、お肉に比べたらヘルシーなんですよ。栄養価も高いですし。
お肉だって特に悪者じゃない。ようは食べ過ぎないことです」
言って豆腐と納豆とお肉を食べるときの量について説明してくれました。
その量は「幼児のままごとかよ」と言いたくなるくらい少ないものでした。
精進料理ならともかく、そんな細かい食卓は一般家庭では不可能です。
「お肉は赤身の肉を使ってください。あと、チーズは栄養学的には
油脂なので、毎日食べるのはちょっと」
「でも、私、チーズが無いと死ぬんです」
「ふふ。みなさんお好きなものはやめたくないっておっしゃいますね。
では、チーズは保留で。でもあまり食べ過ぎないでくださいね?」
「はい(助かった……)」
「スライスチーズなら一日半分です。四分の一でも良いくらい」
「ええっ」

渡辺先生のソフトですが厳しい栄養指導の末、
おやつは一日一種類!
ポテチなら小袋!
野菜が少ない!
タンパク質は摂りすぎるな!
チーズはスライスチーズなら一日半分!
ということが決定付けられました。私、泣いても良いですよね?