おデブちゃんの肥満外来体験記
目標体重とは何か
体重にはいろいろな種類があります。
私のいる過体重のラインはともかくとして
標準体重(kg) = 身長(m)2 × 22
美容体重(kg)=身長(m)×身長(m)×20
モデル体重(kg)=身長(m)×身長(m)×19
となっています。
私が身長160cmだとすると56キロが一番「病気になりにくい」体重です。
太っても痩せてもいませんが、20代くらいなら「ぽっちゃり」だと
言われるかも知れません。
51キロだとスリムだね! と言われますし
46キロだとモデル並み(一般的に言うと痩せすぎ)となります。
肥満外来で目指すのは56kgの「標準体重」前後です。
せめてそれより10キロ重い「ぽっちゃり」に、とも言われます。
「えー! 160cmで66キロは「太りすぎ」でしょ!」
と思われたそこのあなた!
医学的にはあくまで「ぽっちゃり」です。
年代にもよりますが、健康にはある程度の脂肪も必要なんですよ。
とはいっても、「痩せている=きれい」という価値観がはこびる世の中で
「私はダイエットなんかしたくない! 標準体重で行くの!」なんて
言えない/言いたくない/思わないのも確かです。
前の章で書いたほどではないにしても
買える服も制限されますしね。
生まれつき標準体重なのに痩せようとして精神や体の調子を崩している人は
多いです。
肥満外来は病院なので無理して美容体重になれなんて言いません。
目標は160cmなら56〜66キロです!
心の中では「巨デブになる奴は美容体重になんかなれないと思ってるだろ」と
ひがんでいたりもしますが、おそらく、真実は『病院だから』です。
ダイエットについて、私はずっと間違えていた気がします。
「素敵な恋がしたい」「おしゃれがしたい」「太ってるとみっともない」ete
いえ、間違っているという言い方は正しくありませんね。
それはかなり若い(10〜20代)当時の私にとっては重要なこと
だったのでしょう。その頃は周囲が全員痩せてますしね。
しかし30代になり、肥満外来に通って私は思いました。
今まで私が思ってきたこと。それらはすべて、人から好かれたいとか、
見栄を張りたいとか、そんな薄っぺらい理由だったのだと。
自分が一生使う体のことなのに。
思えば、それは若さ故の健康への奢りだったのでしょう。
しかし30代になり、今のまま40代になったら糖尿病等の病気が
出てくるよと言われ、私はようやく、自分の体というものに
本当の意味で目を向け始めたのでした。
N大学病院肥満外来のみなさんは、本気で私をバックアップしてくれていました。
その真剣さに引き込まれるように、私も真摯になっていったのだと思います。
「目標は66キロ(仮)ですね」
私は栄養士の渡辺さんに鼻息も荒く言います。渡辺さんはそうねえ、
と小首を傾げました。
「無理して56キロ(仮)になる必要はありませんよ。それでいきましょうか」
「50キロ(仮)だった時代もあるんですが(遠い目)」
渡辺さんは少し慌てた様子で
「そんな高い目標は良くありませんよ」
「……ですよねえ。いえ、分かってます、二十歳の頃には戻れません(汗)」
「人間は二十歳の頃の体型が理想だと言われていますが、代謝が変わりますからね。
まあ、気長にやっていきましょう」
そう言って渡辺さんはにっこりと微笑むのでした。
ちなみに母は私が二十歳の頃の写真を拡大コピーさせ
部屋に貼るよう指示しました(汗)
旅先の京都の山をバックに映っている二十歳の私のおなかはぺったんこでした……。
作品名:おデブちゃんの肥満外来体験記 作家名:まい子