赤い傷跡 第二章
とにかく、あたしは亜紀に駆け寄り揺すって起こした。
だが亜紀は起きる様子も無く寝息だけたててる。
「このまま家に送りましょう」
瑠色さんはそう言うと亜紀をお姫様抱っこした。
「…意外と力持ちですね!」
見た目か弱そうな瑠色さんだがそのギャップにビックリした。
「ええ、私達は人間よりも筋肉が発達しているんで。」
「へぇ、あっ!!」
あたしは眠っている亜紀を見ると首もとになにやら傷があるのに気づいた。
「これ…歯形?」
あたしが顔を近づけてよく見ると、小さい穴が二つあり牙で噛まれた跡だった。
瑠色さんも一緒になって見ると、真剣な顔で言う。
「吸血鬼に噛まれた跡ですね…」
「え!うそ!!」
「恐らく吸血鬼になったのはこれが原因です。」
(こんな傷、無かったのに…)
すると瑠色さんは、学校の建物を眺め難しい顔をする。
「ここの学校…たくさんの怪物がいるわ…。」
瑠色さんの発言にあたしは背筋が凍りついた。
「どうして分かるんですか…?」
「かなりの量だから、気配を凄く感じる。」
瑠色さんはあたしの方に向き直ると優しく微笑む。
「とにかく帰りましょう、叔母さんが待っています。」