赤い傷跡 第二章
「吸血鬼…?!」
「え!?亜紀が?!」
あたしは思わず声をあげて驚いた。
まさか友人が吸血鬼だったなんて、予想外の事にかなりびっくりする。
「うそ!!!」
一番驚いたのはシモーヌらしい、頭を抱えしゃがみこんだ。
ウルフはシモーヌの前に立ち、グルルッ…と唸りだした。
『気が治まらねぇ、お前の勘違いになぜ俺が巻き込まれた?』
尖った爪をシモーヌに振り落とす。
あたしは思わず目をつぶる。
すると四方八方に黒い物がバサバサと飛んできた。
「…うわっ?カラス?!」
その黒い物はカラスでありカァカァと鳴きながらウルフの周りを飛び回る。
『くそ…っ!邪魔だ!』
ウルフは爪をカラスに振り落とすがカラスは軽々とかわし、量が増していく。
『くぅっ』
ウルフは悔しい声をあげ、いきなり吠えだし遠くに走り去っていった。
カラスもウルフが居なくなると鳴きながら散らばっていった。
そのまま沈黙が続き、瑠色さんが口を開いた。
「…とにかく、助かったみたいですね?」
「そうみたいですね…」
シモーヌも何があったのか分からなくポカーンとしていた。
しばらくしてシモーヌは我に返り立ち上がった。
「また…生け贄、探さなきゃ…。」
そう言って手から黒いもやを出し、消えていった。