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赤い傷跡 第二章

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ボトッ…


ただ振り払っただけ、だが自分を掴んでいた女の子の腕が千切れ遠くの方に飛んでいってしまった。
そう、あたしが振り払った衝撃で女の子の腕が千切れたのだ。
(え…うそ?うそうそ、あたし振り払っただけ…)

悲鳴をあげたくなるが驚きのあまり声が出なかった。
体に変化があると思ったがまさかここまでとは、
人を軽く殺せるほどだ。

女の子はとくに驚きの表情をせず冷静に飛んでいった自分の腕を見ていた。

「な、なんで…腕取れたのに、」
震えた声で言うと、女の子はあたしを見てこう言った。

「だって私は魔女だから、腕が取れてもくっつくもん」

よく見るとその子は金色の目をしていて放課後自分を見ていた女の子にそっくりだった。
「あんたが、亜紀を…!!」

女の子は何も反応せず千切れた腕をとり、そのままくっつけた。
異様な光景につい目がいってしまった。

「わたしの名前、シモーヌ…。あなた、吸血鬼?それとも人魚?」

「あ、あたしは、ふつうの人間よ…」
シモーヌと言う子はふつうでは無いらしい、いまでも亜紀を連れてシモーヌから逃げたかった。

「人造人間?魔女?それとも…「罪深き怪物」?」
答えても次々と言ってくる、しかしシモーヌは言うのをやめ、あたしの手首の傷を見るとなるほどと言った感じに頷く。

「「罪深き怪物」か…、」

「罪深き怪物」、聞いたことのない言葉にあたしは首を傾げる。
その間にシモーヌはじりじりとあたしに近づいてくる、こちらも同じ様にじりじりと後ろに後退りする。
「あっ!!」
気づいたら後ろにプールがあり落ちそうになった。

「あなたを、生け贄にしようと思ったけど、人間じゃないからできない…」
シモーヌは殺意のこもった目であたしを見る、シモーヌは両手を上に挙げた。

「邪魔だから、消えて。」
両手をおもいっきり下に降ろす。

目の前の景色が歪んだように見えたと思ったら、あたしは水に覆われた。
水の中に居るため息ができなく苦しかった。

おそらくシモーヌがプールの水を操っているのだろう。
(やだ…、苦しい…)
するとシモーヌは手を動かした。今度はプールに向かってあたしと覆われた水が一緒に叩きつかれた。

そのまま、あたしはプールに溺れてたまらず口に入っていた空気を出してしまった。
気が遠くなる。
(あたし、このまま死ぬのかな…?)



あたしは死ぬのを覚悟して目をゆっくり閉じた。
作品名:赤い傷跡 第二章 作家名:麗潤