赤い傷跡 第二章
「おもいっきり泣いても良いんですよ?」
上から降ってきた言葉にあたしは布団から顔をだそうとしたが、ためらった。
「…瑠色さん?」
「無理に涙を止めようとしないで、思う存分泣いた方がスッキリするでしょ。」
慰めるかの様に布団の上から頭を撫でられる。
その動作にまた涙が溢れてくる。
「私は、一回も母親を見たことないんです。」
「え。」
少し驚いてあたしは布団から出てしまった。
そこには綺麗な瑠色さんが微笑んでいる、悲しそうに。
「わたしの母は人魚、父は人間。ハーフなんです。だからこのように、人間に変わったり出来るんです。」
「そうなんだ…」
「でも母は体が弱く、私を産んですぐに死にました。」
瑠色さんはあたしの涙を手ですくう。
「父は一人で私を育ててきました、父はいつも言っていました…。
「悲しい時は泣きなさい」と…そう言い父は母のことを思い出したのか泣き出したんです。」
綺麗な顔で微笑み、あたしの頭を撫でる。
そしてあたしはいままで以上に泣き叫んで瑠色さんにしがみついた。