SAⅤIOR・AGENT
オレ達は大急ぎで洞窟を脱出した。
「くっ!」
後ろを見ると崖を砕いて怪獣が出現した。
オレとファーランはセイヴァー・アームズを構えた。
しかしオレの切っ先が震えた。
何しろこの時のオレは試合の組み手ばかりで実戦は初めてだったからだ。
ましてやこんなでかい怪獣相手にするなんざ、ゲームくらいなもんだ。
『グオオオ―――ッ!』
怪獣は大きく口を開くとオレ達に向かって真っ赤に燃える炎を噴き出した。
「うおおっ!」
「きゃあっ!」
オレ達はそれぞれ左右に飛んで火炎攻撃を回避する、
オレ達が今までいた場所は大爆発を起こし、爆熱が雪を蒸発させて地面を抉った。
『グオオオ―――ーッ!』
怪獣が大きく叫ぶ、
あまりの大きな咆哮にオレ達は耳を塞ぐがその振動がビリビリと体に伝わり、こいつの恐ろしさを察知した森に住む鳥獣達が大空に逃げて行った。
「どう戦えばいいんだ?」
オレがどうしようか迷っている時だった。
「うおおおっ!」
突然オレ達の後ろから黒い影が飛び出すとそれは一度崩れた崖を蹴ってジャンプを続け、怪獣の頭上に飛び立つと両手に持った得物で攻撃した。
『ギャアアッ!』
怪獣は顔をしかめて頭を振った。
影は空中に投げだされると体を捻って体制を整えてオレ達の前に立ち降りた。
「バイス!」
「下がってろっ!」
バイスは自分のセイヴァー・アームズで怪獣に立ち向かって行った。
『ガアアッ!』
怪獣が大きな足を上げてバイスを踏みつぶそうとするがバイスは横に飛んで交わして怪獣の周りをグルグル回り始めた。
『ガアアッ!』
怪獣はバイスを踏みつぶそうとするがバイスの移動速度の方が早かった。
確かにガチで戦ったんなら勝ち目はない、だけどスピードだけならバイスの方が上なので相手を撹乱させるつもりなんだろう、
「オレ様も来たぜぇ!」
今度はサイモンが空から降って来た。
サイモンは怪獣の方を見る、
「おいおい、何だよこの化けモンは?」
「ああ、それはな……」
オレは説明する、
するとサイモンは怪獣を見て分析を始めた。
「なるほど、どこのどいつか知らねぇが生物兵器として造り上げてたって事か」
良い趣味してやがる、
怪獣はバイスの動きに付いて行けず、ついに頭に血が上って自分の足元に火炎攻撃を放った。
「ぐああっ!」
バイスは吹っ飛ばされて雪原に転がった。
なんてメチャクチャな野郎だ。
至近距離での爆撃により足元は巨大なクレーターと化した。
勿論自分だって無傷じゃ無い、足の皮膚が焼け焦げ、肉が吹き飛んで骨が見えている、
しかし驚くべき事に怪獣の足が次第に復元して行った。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki