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 オレ達は真っ暗な通路を歩いて行った。
 訓練用セイヴァー・アームズを明り代わりにゆっくりと進んで行った。
「あ、行き止まりか?」
 オレ達は岩壁の前に立ち止まった。
 見回してみても他に目立つ所は無い、
「ちょっと待って」
「何だ? 何も無いぞ」
「いや、ホラ…… この前タクミが見せてくれたアニメでやってたじゃん、こう言った場所には必ず隠し扉が……」
「あのな、ありゃアニメだろ」
 いくら人工的に作られた洞穴って言っても色々ある、
 大方宇宙船が不時着して寒さをしのぐ為のビバークとして掘られた物、何も無い所を見ると無事に助けが来て故障した宇宙船もろともこの星をおさらばしたとそんな所だろ……
 オレがそう推理している時、ファーランが何かを見つけた。
「あ、これ」
 するとファーランは岩壁の隙間を指差した。
 覗いてみるとそこには赤くて光沢を放つ物があった。
 それは宝石じゃ無く金属、間違い無い何かのセンサーだった。
「オレの予想は外れだな」
 オレは顔を強張らせる、
 ここは氷河期の惑星、知的生命体は存在しない、おまけにこんな所に隠れるように作られた…… となると嫌な事を考える、
「ちょっと下がってろ」
 オレは岩の隙間に指を入れてセンサーに触れる、
 そして体内のエネルギーを送り込み、センサーとリンクしてシステムを起動させた。
 一応パスワードもあったが何とか解析する事が出来た。
「さてと、鬼が出るか蛇が出るか……」
 岩の扉が音を立てながら開くと目の前に凄く広い空間が広がった。
 銀色のタイル貼りの床、金属でコーティングされた壁、鉄で作られた柱が岩の天井を支えている、
 奥に進む道があるので行ってみるとそこにあった2つの物にオレ達は目を見開いた。
 1つは円堆型の巨大なコンピューター、そしてそれは太いチューブで隣に『ある物』と繋がっている、
 その『ある物』とは天井スレスレまである大きなカプセルに入った巨大生物だった。
 岩のようにゴツゴツした肌、鋭い爪が生えた3本指の太い足、両手には5本の鋭い鉤爪、2つの赤い目玉に大きく裂けた嘴に牙が生えたような口に3本の角と左右には魚の鰭の様な耳、そして大蛇のような尻尾が邪魔にならないように胴体に絡まって緑色の液体に浸かってる、
「これは……」
 オレは息を呑んだ。
 まさかSFや特撮でしかお目にかかれなかった物が見れるとはな……
「何これ? 怪獣?」
「さぁな、だけどすげぇやべぇ予感がする」
 見るとコンピューターはまだ作動している、
 どこのどいつだこんな物造ったのは?
「タクミ、どうする?」
「さっき言っただろ、ヤバいから逃げる!」
 とりあえずこの場は逃げて宇宙にいる教官達に知らせた方が良いな、
 そう思って怪獣から振り向くとまた地震が起こった。
「ま、またか?」
 だけど今回はそれだけじゃ無かった。
『グルルル……』
 低いうなり声が聞こえたので振り向くと怪獣が目を覚ましていた。
 怪獣がカプセルの液体の中でこちらを鋭い目で見下ろしていると巨大な両手がカプセルに触れると力を入れる、するとカプセルに亀裂が入った。
「ヤバい! 逃げろ!」
 オレとファーランはその場から逃げだした。
『ガアアアッ!』
 怪獣が叫ぶとカプセルが砕けて液体が流出、巨大な足が銀のタイルの床を踏み砕いた。