小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

SAⅤIOR・AGENT

INDEX|92ページ/145ページ|

次のページ前のページ
 
 
 今から2年前、
 地球の宇宙コロニー爆発の影響で体の殆どの組織が駄目になってしまい、オレはゼルベリオスに護送された。
 本来なら体を直してもらって記憶を消されて地球に返される所をオレはそれを辞退した。
 オレが住んでる地球に犯罪を犯した異星人が逃げのびていて、さらにコロニーを爆破したのがその異星人だと言う事を知った。
 あの事件で多くの人達が命を落とした。その倍の人達の家族は悲しんだだろう、舞も普段は気が強いが実は淋しがりやで繊細だ。オレが死んで物凄く悲しんでるだろうと思うといてもたってもいられなくなった。
 オレはセイヴァ―・エージェントになる事を志願して体を作り直してもらった。 
 新しい体に慣れる為にリハビリを重ね、自由に動けるようになるまで4ヶ月、それから様々な惑星の言語や文字を覚え、戦闘訓練を重ねる事5ヶ月経ったある日の事だった。
 
 1台の大型戦艦が音も光も無い星の海原を進んでいた。
 ゼルベリオスから飛び立ったその戦艦は戦闘派のセイヴァー・エージェント候補生の特別演習の為に別の星へ向かっていた。
 戦艦内では100人を超える候補生達が集まっていた。勿論その中にオレもいる、
『以前から他の教官達から聞いていたかと思うが、今度行われる訓練は下手をすれば命に関わる』
 左右に数名の教官を従えて説明をしているのは緑の長い髪のオールバック、額に翼を広げた鳥の様な紋章が入ったヒューマノイド・タイプの異星人でゼルベリオスの最高指導者、オラーグ星人のデュオ・リードだった。
 しかし彼は本当はここにはいない、現在目の前にいるのはホログラフで、本人はゼルベリオス本星にいる、
『君達が訓練を行うべき星はここだ』
 デュオ氏の背後にある巨大なモニターに真っ白な惑星が映し出された。
 オレ達に課せられた訓練とはこの創生期の惑星に降り立って一週間のサバイバルだった。
 実際地球でもまだ人類が生まれる以前にセイヴァー・エージェントが訓練の為に降り立っていたらしい、
『この惑星はディノアと呼ばれ、まだ知的生物はいない、ここで諸君らは4人1組の班となり、寝食を共にしてもらう、例え訓練でも実戦となんら変わらない状況で取り組むように、以上!』
「それでは次に諸君らの班分けを行う、各自力を合わせる事になる者達と顔を合わせて置くように、それでは解散!」
 その傍らにいた赤い体毛に大きな耳に狐の尻尾が3本生えたゼルベリオスの教官の1人でこの訓練の責任者であるザンナ星人のフォルト氏が言うと画面が切り替わった。
 候補生4人づつフレームに区切られて名前が映し出され、教官達が退室すると候補生達は画面の前に集まった。
「オレは…… あれ?」
 オレの自分の名前はすぐ見つかった。
 しかしオレと同じ班の名前を見た瞬間だった。
「タクミーっ!」
「うおっ?」
 するとオレの腰回りに誰が手を回した。
 そいつはファーランだった。
 ファーランはこの頃からこの姿だった。
 以前記憶再生装置を使って再生したオレが地球にいた頃にやってたギャルゲーのキャラ(妹キャラ)が気に入ったらしく、それ以来ずっとこのままだった。だが……
「ぐがあああっ! ギブギブギブっ!」
 ファーランはフルパワーだった。
 何せ地球じゃないから力を制御する必要が無いので今のこいつはフルパワーだった。
 改造人間じゃ無かったらオレの体は真っ二つだ。ファーランが手を離すとオレは腰を抑えた。
「お前は加減って物を知らねぇのか?」
「タクミこれくらいじゃ死なないでしょ?」
「死ぬ死なねぇの問題じゃねぇ!」
 オレは叫ぶ、
 そりゃオレは脳以外どこをやられても平気だし、例え真っ二つにされても繋いで時間をかければ元に戻る、だけど痛い物は痛いし苦しい物は苦しい、
「でもでも、アタシ達同じチームだよ、良かったね」
「はぁ、よりによってお前か……」
 オレはため息を零した。
 別にこいつが嫌いな訳じゃないがこれじゃ訓練所にいるのと同じだ。
 そんな事を思っているとオレ達の側に赤い炎の中に赤い球体が浮かんだような星人がやって来た。
「よう、相変わらず仲良いな、お2人さん」
 そいつはサイモンだった。
 サイモンはこの時は本当の姿をしていた。
「お前も同じ班だな、結局いつもと同じメンツかよ……」
 正直誰かが仕組んだんじゃないかと疑った。
 オレは画面を見上げるとオレの名前にあるファーランの隣に確かにサイモンの名前があった。
 だけどその隣にある名前を見た時だった。
「バイス? 誰だ?」
 オレは眉を細めた。
「あ、あいつだよ」
 サイモンが見た方向には元の姿のバイスがいた。
 バイスも同じくしかめっ面で画面を見ていた。
「あ、あの人知ってる」
 ファーランは指差した。
 当時バイスは銀河連邦軍から引き抜かれたばかりだった。
 するとバイスはオレ達に気が付くと近づいてきた。
「……お前達がシロガネ・タクミ、ファーラン・ナ―ガ、サイモンか?」
「ん? ああ」
 オレは頷く、
 するとバイスは両足を揃えると握った拳を左胸に乗せた。
「オレの名はバイス、ヴォルフ星人だ。これからよろしく頼む」
 丁寧な奴だけど何だか堅苦しそうな奴だな……
 第一印象はそんな感じだった。
 オレ達も自己紹介をする、
「ドラン人とレイス星人は連邦軍にもいたが…… 地球人はいなかった」
「だろうな、何せかなり田舎だからな」
 良くアニメとか特撮とかで地球は田舎の星って設定があるけど現実だったとは思わなかった。
 なおこの宇宙密偵団体の候補生のほとんどが地球の存在を知らなかった。