SAⅤIOR・AGENT
その頃、
「だああああっ!」
オレ達は朝から猛特訓を繰り返していた。
今オレ達が来ているのは富士山麓の地下に設けられたセイヴァ―・エージェント地球日本支部本部、バーチャル・リアリティ・システム搭載の訓練場で、他の支部の戦闘派のセイヴァ―・エージェント達と手合わせをしていた。
周囲の風景、気候、気圧、重力などは登録された惑星からランダムに選ばれ、今オレ達のバトル・フィールドとして選ばれたのは地球の10倍の重力に惑星の90パーセントが荒野のグラと言う惑星だった。
そして使用しているセイヴァー・アームズは見た目こそ普段使っているのと同じだが殺傷能力がまるでない訓練用のセイヴァ―・アームズだった。
オレの相手は水色の先端が少し尖ったドーム状の頭に蛸の足が4本生えたアブレン星人のラモン・リーさん、彼は4年前に地球に配属され普段は屋台のラーメン屋を経営してるらしい、全員オレ達の先輩達だった。
他にも今ファーランと戦ってるのが首から下は地球人と同じだが、赤い皮膚の青いモヒカンの状の髪に左右からバッファローみたいな角が生えた4つの黒い複眼に大きく飛び出た耳、両手に光の棘付き棍棒状のセイヴァ―・アームズを持った彼は普段は丸井水産(株)のサラリーマン、ビルドイ星人のイノーバさん、
バイスと戦ってるのが黒豹の顔に狐の耳が生えたような頭部の、両手に光のランス状のセイヴァ―・アームズを持った彼は普段は花屋でアルバイトをしているヴィード星人のガントさん、
サイモンと戦っているのが大きな目玉が付いた黄色い球体状の皮膚の体に8本の触手が生え、周囲には銃口が取り付けられた球体が無数に浮かぶセイヴァ―・アームズを操る、普段はフリーターのアイズ星人のクレイルさん、
皆オレ達より先に地球で活躍しているセイヴァー・エージェントだった。
オレは彼が放つ光の円盤ノコギリ状のセイヴァー・アームズをオレのセイヴァー・アームズで払いながら距離を詰めると懐に入り込みラモンさんに一太刀浴びせた。
「ぐあああっ!」
ラモンさんが叫ぶ、
それと同時に他の連中も戦いが終わろうとしていた。
イノーバさんが振り上げたセイヴァ―・アームズが地面を砕くが両翼を広げたファーランは両足を揃えてジャンプ、背後に回って素早く身を翻すと渾身の力を込めた一撃が炸裂、
目にも止まらぬ高速戦を繰り広げていたバイスがガントさんの突きだされたセイヴァ―・アームズを自分のセイヴァ―・アームズを振りおろして地面に押さえつけるとがら空きになった水月に即足蹴りを放ち、怯んだ所へ体のバネを使って遠心力を付けた斬撃を放つ、
サイモンは自分に向かって放たれる無数の光線を回避しながら攻撃パターンとレーザーの起動を瞬時に計算、攻撃の隙間を縫って自分のセイヴァ―・アームズを放つと見事命中した。
途端空中に大きく四角いスコアが映し出された。
『試合終了、勝者・桜星町支部』
アナウンスが流れる、
「やったぜ!」
オレは指を鳴らした。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki