SAⅤIOR・AGENT
俺はスパーズを追いかけた。
あの星人は本来地球の蜘蛛とほとんど同じ大きさしかない、俺達の前に現れたのは自らが乗り込んで動かす為のロボットで、俺が駆けつけた時にはすでにあの本体は機械のボディを捨てて逃げていた。
部屋の片隅には地下室に下りる階段があった。そこは使われていない地下駐車場だった。そこで待ち構えていたのは2本の角が生えて口から牙が生えた3つの赤い複眼を持つ頭部に両手には2本の半月型の刃が握られた2足歩行のロボットだった。腹を括ったか……
『捕まってたまる物か! この私が…… セイヴァ―・エージェントごときに!』
俺はセイヴァ―・アームズに光の刃を出現させて切っ先を奴に向けた。
「行くぞ、スパーズッ!」
俺はアスファルトを蹴って走り出すとスパーズの方も突進した。
「うおおぉぉ―――っ!」
セイヴァ―・アームズを振り下ろすと大きく刃を振り上げるがスパーズの2本の剣が交差してセイヴァ―・アームズを受け止めた。
『ハッ!』
スパーズがセイヴァー・アームズを弾き返すとすかさず両手の剣の切っ先を突き出してきた。
「うおっ?」
俺は横に飛んで交わして再び切りかかる、俺と奴の武器がぶつかり合い火花を散らした。だが……
「うりゃあっ!」
俺の渾身の一撃が受け止めようとした奴の右手の剣をへし折り、さらに体をひねって放った横斬りが左手の剣を砕いた。
『このっ!』
スパーズは後ろに飛び退くと俺との間合いを空けた。
途端背中から4本の先の尖った鉤爪が生えると先端が輝いて光線が放たれた。
「うわっ」
俺は横に跳んで敵の攻撃を回避する、明日ファルトに転がって両足で踏ん張り体制を整える、さっき俺がいた場所は黒い煙を放って穴が空いている。
『ハハハッ! 踊れ踊れぃ!』
スパーズの爪先からさらに光線が放たれた。
接近戦は無理と判断して遠距離攻撃に出たんだな、
だが生憎と俺には遠距離攻撃の手段が無い、セイヴァー・アームズは見てのとおり剣なのだがこれ以上刀身を伸ばす事が出来ない、
「チっ!」
俺は舌打ちしながらレーザーを回避し敵に近づく、
『塵となれぇーっ!』
ロボットの口が開くと中から巨大レーザー砲が出てきてオレに発射された。
「りゃあっ!」
俺は両足の膝を曲げて力を込めると天井スレスレまでジャンプして敵の攻撃を交わした。
俺が今まで居た場所は轟音と供に爆発したが俺自身は宙で山を画くようにスパーズに向かって落下、その際両手でセイヴァー・アームズを両手で構えると渾身の力を込めて振り下ろした。
「マリネス星人、スパーズ! 逮捕だ!」
俺の光の刃はスパーズのロボットを唐竹から切り裂いた。
『ギャアア―――ッ!』
切り裂かれたロボットの体から火花が飛び散ると閃光に包まれて大爆発、木っ端微塵に砕け散った。
「ふぅ……」
ネジや鉄クズがアスファルトに転がる中、俺はロボットが破壊された場所の近くの柱へ近づいた。
「おい!」
『ひいっ?』
そこにいたのはスパーズ本体だった。
こいつは小さいから爆発に紛れて逃げられると思ったんだろうが俺の目は誤魔化せない、
俺はスパーズにセイヴァー・アームズの切っ先を向けた。
「テメェ…… よくも舞を攫いやがったな?」
俺が目を吊り上げ見下すとスパーズは身をビクつかせた。
『ひぇえっ! お許しください、どうぞお許しをぉぉ――っ!』
まるで悪事のバレた悪代官のように命乞いをするスパーズ、しかしこいつは各星々でやらかしてきた罪がある、
「ゼルベリオスに護送する!」
俺は今度はセイヴァ―・アームズの黄色のボタンを押す、すると赤い光の刃が消えうせ金色の光の刃が出現、その刀身でスパーズを貫いた。
『ギャー―ッ!』
品の無い悲鳴を上げながらスパーズは光の粒子となって消えうせた。
ちなみにこの金色の刃で切られた物は粒子分解されてゼルベリオスに送られる。大したモンだぜ。
俺は舞の元まで駆けつけた。
「舞!」
すると舞は膝を曲げて顔を俯かせていた。俺が近づくと舞の顔を覗き込んだ。
「おい、舞?」
すると舞は顔を上げる、すると目を潤ませると涙が溢れ出した。
「兄さん、兄さぁん!」
舞は俺に抱き付くと子供みたいにワンワン泣き出した。
俺は舞の頭に手を乗せた。
「泣くんじゃねぇよ、本当に子供だな」
「子供って言うなぁ、バカ兄貴ぃ!」
「それじゃ帰るぞ」
舞がまだロクに動ける状態じゃないのが分かると俺は舞を背負ってスパーズのアジトを後にした。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki