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「ううっ……」
 私は目を覚ました。
 するとそこはどこかの廃ビルだった。長い間使われてなかったんだろう所々崩れかけて今にも建物自体が崩壊しそうな感じだったが薄暗い蛍光灯が照らす部屋の中で私は自分の体が縛られているのに気がついた。
『気がついたか?』
「えっ?」
 目の前には机の上に沢山のモニターがあってあの黒マントの怪人が座っていた。そして座っていたイスが回転すると私の方を見た。
「ヒッ……」
 私は背筋が寒くなった。
『そう怯える事もあるまい、お前の望を叶えてやったのだぞ』
「私の?」
 私には何の事か分からなかった。すると部屋の中にさっきのロボットが入ってきた。しかしその小脇にはぐったりとして動かない兄貴が抱えられていた。
「兄さん?」
 すると兄貴はまるでゴミみたいに私の前に放り投げられた。しかも全身痣だらけの傷だらけ、顔には血の気が無かった。
「な、何をしたの?」
『ん?』
「アンタ、兄さんに何したのよっ?」
『殺した』
「なっ?」
 頭に奴が言った『コロシタ』の四文字が浮かび上がる、私は冗談かと思った。
『確めてみるか?』
 怪人の目が輝くと私を縛っていた両手足の糸が解け、私はその場に倒れた。体が思うように動かないけど震える指で兄貴の頬を触った。兄貴の肌は氷のように冷たかった。
「う、うそ……」
 さっきまで生きてた。
 私と話してた兄貴が何も言わない死体に変わってしまった。
 その事実に私は世界が壊れたように思えると目から涙が溢れて兄貴の亡骸に抱きついた。
「いっ、いやぁああっ!」
 すると怪人が後ろで私に言って来た。
『何を泣いている、お前が望んだ事だろう?』
「わ、私が?」
『お前はこの男を憎んでいた。殺したいと思った。違うか?』
「ち、違うっ!」
 確かに今までほったらかしにした兄貴に怒った。でも殺したいなんて思った事は無い、
『違わないな、お前は1人にした兄を憎んだ。そして消えて欲しいと望んだ』
「違うっ、違う違う違うーっ!」
 私は耳を塞いで首を横に振って否定する。
『まぁ良い、こいつの死体は私が貰うぞ』
 すると2体のロボット達が私を兄貴から引き離した。
「なっ、離して! 離してよっ!」
 すると怪人は兄貴の前に立って複数の目で兄貴を見下ろした。
『こいつの頭の中にはゼルベリオスの情報が詰っている、脳を摘出してコンピューターと繋いでデータを取り出せば高く売れる』
 黒いマントの下からドリルが出て来ると鈍い機械音を立てながら先端が兄貴の頭に近づけた。
「や、止めて! これ以上兄貴に酷い事しないで!」
 これ以上兄貴が傷つくのは見たくなかった。兄貴が死んだのが私の責でも良い、だけどこれ以上兄貴に何かされたら私はもう生きていけない、
「兄さぁ―――んっ!」
 私は叫んだ。だけど……

 その一瞬何がどうなったのか私も理解できなかった。
 突然兄貴の腕が動いて怪人のドリルを掴んで回転を止めた。さらに兄貴の目がカッと見開くと口の端を上に上げた。
「よう、やっと会えたな下衆野朗!」
『な、何ィっ?』
 怪人が怯むと体を捻って立ち上がり左手で拳を作ると怪人の顔面を殴り飛ばした。
『グガァ!』
 怪人は吹き飛ばされて壁をぶち抜いて隣りの部屋まで飛ばされた。
「舞っ!」
 すると兄貴は今度は私を押さえつけてるロボット達を殴りつけた。信じられない力でロボットの頭を粉砕し、私の腕を鷲づかみにしている腕を引きちぎった。
「きゃっ?」
「おっと」
 私はバランスを崩してその場に倒れるが寸の所で兄貴が私を受け止めた。
 この時に触れた兄貴の手に温もりがあるのが私に伝わって来る、さっきまで本当に冷たかったのに……
「に、兄さん? 死んだんじゃ……」
 兄貴は私を降ろすと壁に背をもたれる、
「ああ、死んでた」
 そんなあっさりと……
 すると兄貴は一体の壊れたロボットに近づくとセイヴァ―・アームズを取り出した。何でロボットが持ってたんだろう?
「よし、壊れてねぇな…… 次は」
 次にギルを首から外すと私の首にかけた。
「このお守り結構効いたぜ」
 兄貴は微笑すると怪人を追って壁の穴の中に入っていった。
「待って兄さ…… うっ!」
 体に力が入らない、
『無理だ。君の体の感覚は殆ど麻痺している、しばらく動く事は出来ない』
「だって、兄さんが…… 一体何があったって言うの? 教えて!」
 少なくとも私には聞く権利がある、死んだ兄貴がどうして生き返ったのも含めてだ。
『……マイ、これから話す事は全て本当だ。本当はタクミからは黙っていろと言われたんだがな……』
 私はギルから聞かされた真実に耳を疑った。まさかそんな事があったなんて……