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 小1時間ほど兄貴の背中に揺られて伯母さんの家まで帰ってきた。
 鍵を渡して家の中に入ると私の部屋にやってきて私をベットに寝かせた。
「兄さん……」
「ん?」
 私は一瞬口ごもるが決意して言った。
「ギルに聞いたよ…… もう人間じゃないんだって?」
 兄貴は一瞬驚いた顔をするが顔を顰めてギルを見た。
「おい、お前……」
「ギルを責めないで、私が聞いたのよ」
 兄貴はあのステーション爆破で体の組織の殆どが損傷した。
 ギルが駆けつけてゼルベリオスに運ばれると宇宙の科学技術で作り直してもらい、心臓を止めて死んだふりや超人的な超能力も使えるようになったのだと言う、
「セイヴァ―・エージェントになったのだって、地球が狙われてたって事を知って、地球の人を自分と同じ目に合わせたくなかったんでしょう?」
 兄貴は昔から正義感が強かった。私が野良犬に咆えられてると駆けつけて追っ払ってくれたり、クラスの男の子にイジメられていると助けに来てくれた。
 確かにナンパな性格じゃなかったけど決していい加減な性格じゃない、どちらかと言えば父さんに似て曲がった事が許せなかった。
「体を作り直してもらった礼もあるからな」
 すると兄貴は立ち上がって窓の外を見た。
「……それにどう言って言いか分からなかったし、まぁどの道俺は普通の人間と違う、もう普通の暮らしはできやしないんだ」
「そんなの関係ない、どんな姿になったって兄さんは兄さんよ、私のたった1人の家族なんだから!」
 私は首を振る、
 少し前なら違ったかもしれない、でも事情を知った今なら心の底から言える、
 改造人間になろうが宇宙怪獣になろうがそんなの関係ない。この人は私の兄、白金・匠だ。
 だけどそれよりも気がかりな事がある、
「そ、そんな事よりもう良いんだよね? また昔みたいに私と暮らせるのよね?」
 私は訪ねるが兄貴は振り向いたままで答えた。
「……舞、白金・匠はもう死んだ。今の俺はセイヴァ―・エージェントだ。俺と一緒にいれば必ず迷惑が掛かる」
 その言葉の意味は最後まで聞かなくても分かる、
「そんな、そんなの嫌! 私は兄さんと一緒に……」
「舞っ!」
 すると兄貴はギルを掴んで振り向いた。
 ギルから眩しい光が放たれると私の体から力が抜けて意識が遠くなって行った。
「に、兄さ……」
「……さよならだ。舞」
 兄貴はそのまま私に背を向けて部屋を出ていった。
(いやだ。行かないで…… 私を1人にしないで……)
 私の意識はここで途切れた。