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 店を出ると兄貴と一緒に街を見て回った。
 まるでアミューズメント・テーマパークのようなこの街には様々な施設が立ち並んでいた。
 バーチャル・システム搭載のゲームセンターに全宇宙進行船博物館、はたまた地球のアニメやマンガが見た事も無い文字で売られていた。
「異星用の吹き替え版だ。こっちのがガビエス星ので、こっちがレワオンド星のやつだ」
 売って良いのかこんなもん?
 地球の文明の物を売るならもっと良いのがあるだろうに……
「とにかく腹減ったな、あそこに行こうぜ」
 そう言ってやってきたのはオープンカフェだった。
 中央にドーム型の水晶体が取りつけられた丸いテーブル、足が無い宙に浮いてる背もたれの無いイスに私達は向かい合わせに座ると突然テーブルの水晶体が喋り出した。
『いらっしゃいませ、メニューをどうぞ』
 水晶体から光が発せられるとその中にテレビ画面の様な物が現れて無数のパネルに区切られた料理と飲み物が現れた。
 ちなみにメニューは地球の物と同じだった。
「えっと、じゃあオレはこれとこれだ」
「わ、私はこれで……」
 兄貴の真似をしながらパネルを指で押すと不思議な事に注文したメニューが刹那の内に私の前に現れた。
「早っ!」
「地球と違うからな」
 地球だったら少し待たなきゃいけないけど注文してからわずか1秒も経って無い、
「水と有機元素で合成してんだ。味も変わらないぜ」
「本当に宇宙なんだね」
「オレも最初は慣れるのに苦労したぜ、何せゼルベリオスに運ばれたら周囲は異星人だらけだぜ…… あ、そこじゃオレも異星人だな」
 ゼルベリオスはあくまでも人口の惑星だから原始生物は生息してないらしい、
 そこではみんな元の姿で特訓に明け暮れていたと言う、最も不破さんみたいに大きな異星人は身長を低くする装置を使っていたと言う、
「だけどオレ1人で淋しかったぜ、何せ地球人はオレ1人だけだしな」
 兄貴はため息を零すと真面目な顔になった。
 2年前の宇宙コロニーの爆発はある異星人犯罪者の手により起こされたと言う、地球在中のセイヴァ―・エージェントやギルが助けに来てくれた時にはもう遅く、コロニ―は大破、偶然宇宙に投げ飛ばされた兄貴以外の地球人はみんな死亡したらしい、
「正直あの場にいた人達の事を考えると、素直に喜べないんだけどな……」
 死亡した人達は二度と帰って来ない、
 遺族の人達はずっとその苦しみを背負って生きなきゃいけない、私も兄貴がこうして目の前にいなければどうなってたか……
「でも、悪いのはその異星人なんでしょ? 兄さんは別に悲しむ必要ないと思うんだけど……」
「ああ、その異星人も結局爆発に巻き込まれちまったし、済んじまった事をどうこう言っても仕方ないし…… まぁ、オレはこれで満足してるけどな、舞にまた会えたからな」
「なっ、バカっ! 私は別に……」
「おいおい、またツンデレか? 本当に変わってないなお前は」
「うっさい! ツンデレじゃない!」
 私は兄貴から目を背けた。
 体は改造しても頭の中までは変わって無い、一度脳改造してもらった方が良いんじゃないかと思った。
 コーヒーを一口飲んで一息つくと私はずっと心に思っていた事を尋ねた。
「兄さん、1つだけ聞いていい?」
「何だ?」
「兄さんってどうやって不破さん達と知り合ったの? 不破さんから同じ班だったからって言ってたけど?」
 私はずっと興味があった。
 聞こう聞こうと思ってたんだけどタイミングを逃していたのだった。
「ああ、あれは2年前……」
 兄貴が言った時だった。
『きゃああっ!』
 悲鳴が聞こえて私達は振り向いた。
 警報ブザーと供に向かいの店から覆面で顔を隠した3人の人影が飛び出してきた。
 両手には銀色のケースを持っていた。
「何? 強盗?」
「あいつらっ!」
 兄貴は椅子を蹴って立ち上がると強盗達に向かって行った。