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 門を出るとそこは街だった。
 地球の建物とは明らかに構造が違うが様々な形をした建物が並んでいる、何を売ってるのか分からないけど店の様だった。
「ここはサテラ・ベースって言われてて、地球じゃ売れないような物を売ってるんだ。何せ地球じゃ騒ぎになっちまうからな」
「不破さんの薬も?」
「あいつの薬は特別だ。精製時に有毒ガスが発生するから宇宙で作るしかないんだ」
 兄貴が言うにはその有毒ガスは地球人にとって物凄く有害で、桜星町程度なら半日で壊滅させる事ができるらしい、

 しばらく歩いてやって来たのはキノコの様な建物の店だった。
 自動ドアが左右に開くと私達は店内に入る、
 薄暗い店内にいくつもの棚が並び、そこには様々な薬の入った瓶や箱、
 はたまたソフトボールくらいの大きさの球体状の体にトカゲのような尻尾にコウモリの様な羽が生え大きく外れた顎の目が無い生物や、蛇のように体が長く脳髄が剥き出しになったような生物が液体に浸かった瓶詰が置かれていた。
「ちわ〜っス! 婆ちゃんいますか〜っ?」
 兄貴が叫ぶ、
 すると時間差を置いて店の奥から声が響いてきた。
『いらっしゃ〜い』
 店内の奥から赤い2つの光が輝くと何かを引きずる音が聞こえて来た。
「ひっ?」
 私は肩をすくめて兄貴の後ろに隠れた。
 その人は白い肌にひび割れたような鱗の肌、白く長い髪に黒い瞳、2本の腕を白衣に通した上半身は地球人と大して変わらないが下半身に足は無く蛇のようになった人だった。
『おや、タクミ君かい…… 何か用かい?』
「用が無きゃ来ないって婆ちゃん、つーか薬屋に来る用事なんて1つしかないだろ」
『言っとくけど頭が良くなる薬なんてありゃしないよ、バカにつける薬はありゃしないんだからね』
 厳しいなぁ、事実だけど……
「オレじゃねぇよ、ファーランが夏風邪ひいちまったんだよ」
『そうかい…… ちょっと待ってな』
 するとお婆さんはカウンターの中に入って行くとガサゴソと言う音を立てて薬を探し出した。
「えっと、ドラン人用の薬は…… どこに仕舞ったかねぇ?」
 面倒くさそうに言ってくるお婆さんを兄貴が紹介してくれた。
「あの婆ちゃんの名前はチェイニー・ナーガ、ファーランと同じドラン人で、昔はセイヴァ―・エージェントだったんだ」
『フン、昔の話さね』
 チェイニーさんは会話に参加して来た。
『セイヴァー・エージェントって言ってもアタシャただの医療係みたいなもんさ、だけどどいつもこいつも上手に治してもすぐ怪我ばっかりするもんだからね、頭にきて辞めちまったんだよ』
「そ、それって仕方ないんじゃ……」
『仕方ない訳あるもんかい、戦わなきゃ誰も傷つかないんだよ』
 そんな無茶な、
 誰かが止めないと犯罪はエスカレートするんだし…… 
 そう思う私にチェイニ―さんが訪ねて来た。
『そう言えばお前さんは? タクミ君の彼女かい?』
「かっ、かっ、彼女っ? 私がっ?」
 私の顔が熱くなると声が裏返った。
 すると兄貴が言って来た。
「そう見えるのは嬉しいけど、残念ながらこいつはオレの妹だ。以前話しただろ」
『ああ、あのツンドラとか言う』
「ちげぇよツンデレだよ」
「ツンデレじゃないっ!」
 私にはツンデレしかないのか?
 もういい加減兄貴に教育しなければならない、言って分からないバカには最早実力行使(普段から殴ってるけど)あるのみだ。
『ああ、そうだ。この間売っちまったんだ……』
 チェイニーさんは舌打ちをして来た。
「えっ、無いのか?」
『いや、材料はあるから精製すればあるんだけど…… 少し時間がかかるよ』
「どれくらいだ?」
『小1時間くらいだね、それまで妹と逢引でもしてくんだね』
「ちょ、逢引って……」
「よ〜し分かった。ならしょうがねぇな、行こうぜ、舞」
「えっ、兄さんっ?」
「じゃあ行ってくるぜ、婆ちゃん」
『ああ、行っといで!』
 チェイニーさんにカウンターの中から白い手を伸ばして振った。