SAⅤIOR・AGENT
その頃、
俺は舞を追いかけていた。この辺りは伯母さんに会いに何度か来た事はあるが全てを把握してる訳じゃない、しかも数年来た事が無いから土地感も当てにならない、
「どこに行ったんだ? まだとっ捕まえてねぇってのに……」
『あのロボットを操っていた星人は近くに居たはず、ならばお前と舞の話を聞いていたと考えて間違いない』
「ああ…… 参ったぜ。本当にあの星人が来てんのか?」
『ああ、パドック星人スパーズ、宇宙奴隷商人だ』
ギルから電送してもらったデータを見る、立体映像で映し出された書類は星人のデータが映し出された。
巨大な胴体と腹、2本に別れた指の足に3本指の腕が6本の蜘蛛が進化したパドック星人のスパーズは様々な星々の人間を攫い奴隷として売り飛ばして来たのだった。
「今時アブダクション(異星人の誘拐)なんて流行らねぇってのに……」
『奴はロボットを使い星の環境に適した人間を選び連れ去る……』
ギルの説明に胸クソ悪くなる、そんな奴が舞が狙われたとなると怒りが込み上げてくる、
『パドック星人は大した強さじゃないが優れた機械技術を持っている、もし戦闘となれば強力な戦闘ロボットを用意していると見て間違いは無いだろう』
ギルの話ではさっきのロボットを分析した結果、軽い戦闘はできるが本格的に造られた戦闘ロボットではないと言う、確かに今度は本格的な戦闘は免れないだろうな、
「そんな事はどうでも良い、問題は舞だ」
『……その事なんだが、本当にあれで良かったのか? 事情を話せば分かってくれたのでは無いか? あんな言い方をすれば怒るのは当たり前だ』
俺は目を背ける、
「良いんだよそれで、言えば舞は俺を拒絶する、それにもう二度と会うつもりはなかったからな…… 偶然とは言え一目会えただけで俺は満足だよ」
『……タクミ、ムッ?』
ギルが何かを感じ取った。俺も生物の気配は感じないが分かる、さっきのロボットだ。しかも複数、
「居るんなら出て来いよ!」
俺が言うとロボット達は路地から出てきて俺を取り囲んだ。
「ご苦労な事だぜ、こんなにゾロゾロと……」
俺がセイヴァ―・アームズを取ろうと背中に手を伸ばした瞬間……
『動クナ!』
目の前の一体のロボットから声が聞えた。すると赤い一つ目から光が差すとそこにはミニチュアサイズの舞が立体映像で映し出された。
「舞っ?」
舞はグッタリして両手足を縛られ蜘蛛の巣に掛かった蝶みたいになっていた。
「テメェ……」
『知ッテイルゾ、コノ娘ハオ前ノ家族…… 傷付ケタク無クバ大人シク武器ヲ捨テロ』
「チッ……」
やっぱそう来るかよ……
『早クシロ!』
「仕方ねぇか……」
俺はセイヴァ―・アームズを投げ捨てた。ロボットの一体がセイヴァ―・アームズを拾い上げた。
「言われた通りにしたぜ、舞を離せ」
『……アア、オ前ノ死ンダ後二ナッ!』
すると背後のロボットが俺の後頭部を殴りつけた。
「ガッ!」
鈍い痛みが走ると俺はその場に倒れる、
他のロボット達も近づくと踏みつけ殴りつけ攻撃を加え続けた。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki