SAⅤIOR・AGENT
サイモンはネット世界に飛び込んでアックを追いかけた。
ワイヤーフレーム状のトンネルを滑空するように進んで行くと目の前に1つの影が見えた。
黒い煙の中に赤い1つ目、それがジャミー星人アック・キョーの正体だった。
「見つけたぜ!」
サイモンはセイヴァ―・アームズを発砲する、
「β・モード!」
銃口からエネルギー弾が放たれてアックを攻撃した。
『チッ、もう追いかけて来たか!』
やがて2人はトンネルを抜けると大きな空間にでた。
ワイヤーフレーム状の床、天井は真っ暗だが様々なファイル・データが雲のように浮かんでいる、ここがこのパソコンのハードディスクの世界だった。
「何だ、観念したか?」
『ええ、どうやら貴方には勝てる気がしないのでね…… そこでどうですか? 取引と行きませんか?』
「取引だぁ?」
『ええ、貴方が欲しいのはこれでしょう?』
するとアックは空を見上げると宙に浮かんでいるファイル・データの1つが下りて来た。
それは子供達に見せたウィルス・プログラムだった。
『貴方達はこれを狙って来たのでしょう? ならこれを差し上げましょう』
「その代わり逃がせってか?」
『話が早い』
「そんな挑発に乗ると思うのか? 大体それじゃ本物かどうかも分からねぇだろ、中身を見ねぇ事にはな」
『ならこれならどうですか?』
するとアックはファイルを開いて仲間を見せた。
サイモンは目を細めてみる、
「どうやら本物っぽいな」
『間違いなく本物ですよ、さぁ答えを聞きましょうか?』
「ハッ! 答えはこれだよ!」
サイモンは引き金を引いた。
発砲したエネルギー弾はファイル・データを撃ち抜くとガラスのように砕け散った。
『なっ?』
アックは目を見開いた。
さらに驚くべき事は続く、サイモンは上空に銃を向けて乱射すると全てのファイル・データを破壊してしまった。
「このパソコンのプログラム、およびネット接続データを破壊した。一般回線に逃げ出す事は出来ないぜ」
『き、貴様正気か? ファイルデータが無ければ……』
「オレ様はセイヴァ―・エージェントでも最強の変わりモンでな、そう言うのはもっと綺麗な奴にやるもんだぜ」
『それは自分で言う事か?』
「よくいわれるよ、性格が悪いってな」
『チッ、交渉する相手を間違えたか』
アックの目が大きく見開くと次第に煙の体が大きくなって行き、全身銀色の額に5つの角の生えたコウモリの羽の様な耳の髑髏のような頭部、全身トゲだらけの上半身に巨大な2本脚の西洋甲冑に似たポリゴンの巨人に変身した。
『ククク、この私が口先だけの奴だなんて思わない方が良い、この世界じゃ私は無敵なんだからな』
「ハッ、自分の有利な状況でしか戦えない奴が偉そうに言ってんじゃねぇよ!」
『抜かせっ!』
アックは巨体にも関わらずにものすごい勢いで突進する、
しかしサイモンはにやりと笑って引き金を引いた。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki