SAⅤIOR・AGENT
オレは2段飛ばしで階段を上がって行った。
「クソっ! どうなってやがる?」
さっきからファーランとの連絡が取れなくなった。オレからの連絡を断る為に技と無線を切ってるとしても何だか嫌な予感がする、
それにしてもどれだけ進もうとも3階にたどり着く事が出来なかった。どれだけ登っても表示されてるプレートを見ると階としか書かれていなかった。
今回の敵は明らかに今までの敵とは違った。
恐らく空間を捻じ曲げる事で入り口と出口を繋げているんだろう、早い話がゲームの無限回廊だった。
「サイモン達を呼ぶか…… ギル、サイモン達に連絡だ」
オレはギルに向かって言う、
しかしギルは何も答えなかった。
「おい、相棒? どうした?」
『……ザザ……』
ギルからノイズが走る、
こいつはゼルベリオスの最新科学で造られた議事攻めいたいだ。故障なんてありえない、
「やっぱ何かあるんだな」
オレはテレポートを試みようとするがこれは最後の賭けだ。
ギルが動けない以上ファーランの生態波長はおろか舞やバイスまで感じられない、下手なテレポートは危険すぎる、
「チッ!」
オレは舌打ちするとその場にしゃがみ込んで体力を温存する事に決めた。
匠の様子がパソコン画面に映し出される、
『やっと無駄な事だと分かりましたか、少し経ったらガスを流して眠らせましょう』
「しかし、さすがにやりすぎじゃないのか? あんな子供まで……」
井浦は後ろを見る、
そこには巨大で透明なフラスコの中にファーランが正座した状態で背をもたれながら眠っていた。
『何をいまさら、怖気づいたとでも言うのですか?』
「そうじゃない、これは完全に拉致監禁じゃないか、さすがに犯罪は……」
『犯罪など被害者が何も答えられなければ成立しないものですよ、もちろんそれを知る者もですがね』
画面の中の瞳が細くなる、
すると井浦は目を泳がせて口を紡いだ。
「わ、分かった」
『それが良いのですよ、お互い持ちつ持たれつ、それが一番賢い事です。ククク…… ん?』
声の主は何かに気付き再び画面を切り替える、
建物の入り口に仕掛けられた映像モニターは内部に入って来た1人の少女を映し出した。
「ま、また邪魔ものか?」
「いや…… どうやら普通の地球人のようですね」
画面の少女が大きくアップされると様々なデータが映し出されて解析される、
「ここに来たと言う事は入会希望者か…… いや、この時間に学校はまだ終わって無いはず?」
『調べてみましょう』
声の主は静かに目を閉じた。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki