SAⅤIOR・AGENT
洞窟ではファーランがクォ―ルの止血をしようとしていた。
「しっかりして! 今すぐ助けるから!」
ファーランは服の裾を破いて流れる血を拭うがクォールが息を荒くして言って来た。
『無理だ…… 自分でも分かる…… もう助からない……』
「喋んないで! あの子に会うんでしょ? だったら……」
『オレはバカだ…… 生きたいと思った矢先だってのに……』
「お前……」
「………」
サイモンは遠い目をしながら目蓋に涙を浮かべるクォールを見ながら目を細める、
バイスは右手の握り締めると眉間に皺を寄せた。
するとクォールはズボンのポケットの中から鎖で繋がれた四角い金属のプレートが2つ重なり中央に赤い三角形の水晶がはまったペンダントをファーランに差し出した。
『これをあの子に…… もう少し早く会いたかっ……』
クォールの手から力が抜けて地面に落ちるとそのまま動かなくなった。
「ちょっと、しっかりして!」
ファーランは両肩を揺するが最早何も堪えなかった。
「ぐっ…… ううっ」
バイスは白い歯を軋ませると怒りに目を吊り上げた。さらに尖った髪が鋭くなると目が赤く輝いた。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki