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 洞窟内は意外と広かった。恐らく戦時中に掘られた防空壕かなんかだろう、
 オレ達はクォ―ルの前に立ち塞がった。
『むっ?』
「は〜い、そこまでだぜ」
 オレ達はクォールに武器を向ける、
 クォ―ルは身構えるがキズがまだ癒えていないんだろう、息を荒くし顔を顰めて兄貴達に向って目を吊り上げた。
「バロ星人クォ―ル、宇宙における暗殺の罪で逮捕する!」
『セイヴァー・エージェントか……』
「お前は怪我人だ。手荒な事はしたくない」
『そうか……』
 クォ―ルは口の端を上に上げた。
『1つ、頼みがある』
「頼み?」
『……朝まで待って欲しい』
 クォ―ルは言った。
 それは自分を助けてくれた秀一君の事だった。
 自分は仕事でこの宇宙にやって来た。しかし宇宙警備隊の攻撃で宇宙船が故障して地球に不時着した。
 何とか脱出で着た物の自分は負傷してしまい、倒れていた所を秀一に助けられたと言う、自分が異星人と知りながら他の者達に知らせようともせず、自分をこの洞窟にかくまってくれたと言う、
「なるほどな、ここは養護施設の保育士達が近づくなって言ってた。あの悪ガキは着てまだ日が浅いから1人になりたくてこの茂みに入った時にここを見つけたって所だな」
 サイモンの推測はあってるだろう、
『オレは生まれてから天涯孤独、こんな商売をやってるからいつ死んでもおかしくないと思ってた……』
 今まで金で人の命を奪ってきた冷酷な暗殺者が人と触れ合い命の尊さを知って目に涙を浮かべた。 
『今更償いようが無いのは分かってる、だがせめてあの子に礼を言いたいんだ。必ず自首する、頼む!』
 クォ―ルは頭を下げた。
「……参ったな、気持ちが覚めちまったぜ」
「自首するって言うなら良いじゃ無い? とりあえずあの子にお別れを言って……」
「あまいな」
 バイスが言って来た。
「例えどんな理由があろうが法を犯した者は捕らえる、それがセイヴァー・エージェントだ」
 バイスはセイヴァー・アームズをクォ―ルに向けた。
「ちょっとバイス!」
「止めるな、これは任務だ」
「別にいいじゃないですか!」
 その時だった。
 洞窟の入り口の方から舞が叫んだ。
「そりゃ確かにその人は犯罪者かもしれませんけど…… だけど自分がした事を認めて自首するって言うんです、少しくらい大目に見てあげてもいいじゃないですか!」
「しかしだなシロガネ・マイ、いくら協力者といえども……」
「よ〜し、分った! 好きにしろ」
「タクミ?」
 オレはセイヴァ―・アームズのブレードを消した。
「あの子を利用して逃げようってんならこの場で転送しようと思ってたが…… 今回は信じてもよさそうだ」
「おい、貴様」
「タクミの言うとおりだよ、アタシもただ逮捕すればいいなんて思わないもん」
「だな、もし妙な動きをすればとっ捕まえればいいだけだ。お前ならできるだろ」
「ムっ……」
 バイスは眉間に皺を寄せて考えた。
 確かにバイスだけじゃなくてサイモンの能力を使えばもし妙な気を起こしたところで防ぐ事が出来る、
「じゃあ夜が明けてあの子が来たら……」
 オレが言いかけた時だった。
 突然鈍い音が聞えたかと思うとクォ―ルは目を見開くと下を見た。
 クォ―ルの左胸に穴が空いて青い血を流していた。
『が……』
「おいっ!」
 オレが振り向くとそこには1つの影があった。
 月影に照らされたそいつは右手に光線銃、左手には舞を羽交い絞めにしていた。
「む〜、む〜っ!」
 舞は必死で口元を抑えている手を振り払おうとしているが相手の腕力の方が上で女の細腕じゃ無理だった。
「野朗っ!」 
 オレは表に出た。