SAⅤIOR・AGENT
それからすぐ私は保健室を出てバスに乗って地元に帰って来た。
バス亭から歩いて家まで帰る途中、コンビニを通りかかった時だった。
「うわ〜〜……」
そこではすごい数の人達が並んでいた。
張り紙があるので見て見ると、
『水のペットボトルはお1人様2本まで』
と書かれてあった。
ここまで水不足が深刻化してるなんて思わなかった。
しかし水不足はさらに深刻さを増す事になる、2日後には給水車が学校に現れる事になった。
近所の人達もバケツを持って水をもらいに来ていた。私達生徒会も校庭と会議室の間を水の入ったポリタンクを持ちながら何往復もしていた。
しかしどれだけ水を手に入れてもすぐに無くなる、水は飲む事だけに使われる訳じゃないからだ。
「これだけあってもまだ足りないんですよね」
私はため息を零した。
「でも断水続きなんて変ですね」
「ああ、それなんですけど……」
水城先輩に私は言いかけたけど口を紡いだ。
「どうかしました?」
「あ、いえ…… 何でもありません」
思わず言いかけてしまった。
水城先輩は兄貴がセイヴァ―・エージェントだって事は知ってるけど、基本彼女は協力者じゃない、うっかり話して私の記憶が消されたら大変だった。
「そう言えば最近お兄さん達をみませんね」
「えっ? ああ、不破さんはちょっとアルバイトらしいですけど、兄さんはなんか夏風邪引いたみたいですけど……」
「そうなんですか? 大変ですね」
「き、気にしないでください、夏風邪なんてバカがひくモンですから!」
改造人間が風邪ひくかどうかは分らないけどね……
バレないでよかった。だけど毎回こんな事しながら周囲を誤魔化すなんて大変すぎる。
「はぁ……」
私はため息を零した。
その頃、
「何もねぇな」
オレは目の前に立ち塞がる大きな水溜りを見た。
オレとファーランは今浄水場から数キロ離れた国立ダムにやって来ていた。
あれだけ大騒ぎしたんだから一気に済ますはずだ。となると一気に水を回収するはず、この辺で1番大きな水場といえばここぐらいだ。
オレ達はダム周辺を捜索、張り込みを行った。
他の探索派のセイヴァー・エージェントも同じく作業員に変装して表から、ファーランはダムの内部、つまり水中を捜索していた。
あいつは水の中でも呼吸が出来るからそっちの方を任せた。
「ファーラン、何か見つけたか?」
オレはギルを通して話をする、
『あぁ―――――っ!』
「なっ、どうした?」
突然のファーランの叫びにオレは眉を細める、何かみつけたのか?
『すごいすごい! 昔のブリキのオモチャだ!』
「……おい」
オレは頭を抱えた。
チヅルちゃんの気持ちが分るぜ、
『これって今売ると高いんでしょ? 確かテレビのお宝鑑定隊で……』
「ファーラン…… 終わったらゲーセン連れて行ってやるから、まじめにやろうな」
『は〜い…… ん、何あれ?』
「今度は何だ?」
『変な機械がある』
「機械? どんなのだ?」
『えっとね、銀色でピラミッドみたいな形で、なんだか青く点滅してて…… ああっ!』
「おい、ファーラン? どうした?」
突然ファーランの声がおかしくなった。
『機械が動い…… きゃあああっ!』
「ファーランっ?」
すると貯水場に変化が訪れ、突然巨大な渦潮が発生した。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki