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 ファーランは宗司と供に高巳山を上っていた。
「えっと…… この地図だとこっちか」
 ファーランは地図を確認しながら先を急いだ。
 整備されていない山道を登り終えると×印がかかれた場所にやって来た。
 1本の古い大木だった。幹には確かに古いが大きく『×』のマークが刻まれている、
「ここだ!」
 2人は手や木の枝を使って根元を掘り始めた。
 しかしいくら掘っても宝物は出てこなかった。
「おっかしいな……」
「ここのはずなんだけど……」
 2人が顔を顰めたその時だった。
 突然周囲が暗くなったかと思い、振り返ると2人目掛けて大木が落ちてきた。
「危ないっ!」
 ファーランは宗司を抱きかかえて転がった。大木が鈍い音を立てて地面に落ちると2人の前に巨大な影が立ち塞がった。
 赤く焼けた岩石のような皮膚、その上から袖が千切れてギザギザになった裾の長い黒いコートを羽織り、黒いズボンと黒いブーツ、オールバックの銀髪に額から2本の角が生えた。
「な、なに?」
 宗司は突然現れた正体不明の生物に怯えてしまった。
 しかしファーランは目の前にいるのが異星人だって分かっていた。
 その異星人こそタクミが指令を受けたゴブル星人ボーガ・リードだった。
『誰だテメェ等? 誰の許しを得てお宝を持っていこうとしてたんだ?』
 ボーガは近くの樹木を両手でつかむと信じられない力で根元から引き抜いた。
「宗司君、逃げて!」
 放り投げられた樹木にファーランは宗司を強く押し出すと自分は反対方向に避ける、
 ファーランは地面に転がりながらも体制を整えると両足に力を入れて異星人目掛けて走り出した。
「はああっ!」
 ファーランは助走をつけて大ジャンプ、右足を突き出して跳び蹴りを放った。
 しかし異星人に軽く受け流されてファーランは地面に着地、靴が地面を擦るとその場に踏ん張り、今度は右足でハイキックを放った。
「ヌンっ!」
 しかしそれも異星人に止められ、ファーランは左拳を引いて異星人の腹部に付き立てた。だが……
「くっ……」
 攻撃を放ったはずのファーランの左拳の方に痛みが走った。
『ハッ、そんな攻撃がオレ様に通じるかぁーっ!』
 ボーガが巨大な腕を振るうとファーランを薙ぎ払われて近くの樹木に叩きつけられた。
「あぐっ!」
 小さな体を大きく体を仰け反らせるとファーランは地面に倒れた。
『フン、ガキが……』
 ボーガは今度は宗司を見た。
「ひっ!」
 宗司は身を竦ませると腰が抜けてその場に倒れ込んだ。
 残忍な笑みを浮かべながら野太い足を地面で踏みしめながら宗司に向って行った。
「くっ、こうなったら……」
 ファーランはスカートのポケットに手を突っ込んだ。ロンを取り出して力を引き出そうとしたのだ。しかし……
「あ、あれ? やだっ! ウソッ?」
 ファーランは慌てて周囲を見回すがロンはどこにも無かった。
 ここに無いという事は恐らくどこかで落としたんだろう、しかしどこで落としたかを考えてる暇など無かった。
「待ちなさい!」
 ファーランは痛みを堪えて立ち上がるとボーガの胴回りをつかんだ。
「宗司君、早く逃げて!」
『テ、テメェ!』
 ボーガは太い腕を後ろに回してファーランをつかんで引き剥がすと地面に叩きつけ、さらに腹部を巨大な足で踏みつけた。
「があぁっ!」
 ファーランの腹部に強力な鈍痛が走り、喉に焼け石を飲まされたような感覚が走ると口から赤い鮮血を噴出した。
『オラオラオラァっ!』
 ボーガは情け容赦なく足に力を入れて踏みつけ、踏みにじるとファーランの顔が苦しで歪んで行った。
 だがその時、
『むっ?』
 突然目の前が光り輝いたかと思ったと思った瞬間、次に見たのは靴の裏だった。
「りゃああっ!」
『ぐおおっ?』
 顔に当った途端ボーガはバランスを崩してその場に倒れた。