SAⅤIOR・AGENT
子供の名前は小野寺宗司、この近所に住んでいる少年だった。
ファーランは自販機でオレンジジュースを購入すると宗司に手渡した。
「はい」
「え、でも……」
「いいよ、気にしないで」
ファーランが笑みを浮かべると宗司は頷いてジュースを受け取った。
「ホント、ムカツク奴等だよね、何なのあいつら?」
ファーランはムスっとしながらジュースの蓋を開けて口をつけた。
「……これ」
「何?」
尋ねて見ると宗司が封筒の中から1枚の紙切れを取り出した。
広げて見るとそれはどこかの山の地図だった。
「これ、お祖父ちゃんがくれた宝の地図なんだ。でも誰も信じてくれなくて……」
宗司の祖父は数日前に居酒屋に飲みに出かけて知り合った酔っ払いからこの地図を貰ったと言う、
調べた結果それはここからほど遠くない高巳山と言う山だと言う、
「僕のお父さん、この前会社をリストラされたんだ。それでお金が必要になって……」
「それで仲間が必要だったのね…… 分った。アタシも探してあげる」
「えっ、でも…… 無理だよ、だってその山、昔化け物が出たって噂があるんだ」
「大丈夫、アタシこれでも強いから、化け物だろうが怪獣だろうがやっつけられるんだから!」
ファーランはその場でジャブと回し蹴りをして見せた。
それを見た宗司の心から次第に不安が取り除かれて行った。
「それで上手く言ったら少し分け前もらえる?」
「うん、良いよ」
宗司は大きく頷いた。
「それでその山どこ?」
「お祖父ちゃんが高巳山だって、バスで行けるって」
「分った。それじゃレッツ・ゴー」
ファーラン達は歩き出した。
しかしファーランは気付いていなかった。先ほどジュースを買うのに財布を取り出そうとした時、うっかりロンを落としてしまった事に……
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki