SAⅤIOR・AGENT
一方、
ファーランは学校から1キロほど離れた公園のベンチにポツリと座り込んでいた。
「何よ、チヅルちゃんの分からず屋!」
ファーランの目は赤くなった目を擦ると膝の上で拳を強く握り締めた。
するとロンが言って来た。
『お嬢、確かに班長も言いすぎだけど、さすがに無駄使いは良くないわよ』
「何よ! ロンまでそんな事言うの?」
『忘れたの? セイヴァー・エージェントの生活費はその惑星が支給してくれてるのよ』
セイヴァー・エージェントは任務についている惑星の代表が生活費と供に衣・食・住を提供している、
「趣味に使うお金は無駄じゃ無いってタクミが言ってたもん、それなのにタクミまで……」
ファーランは思い出した。
千鶴に今の言葉を言ったのだが、タクミは『だからって加減ってモンがあるだろ、お前が悪い』と言って来た。
それを思い出したファーランは身を震わせるとその場から立ち上がって空に向って叫んだ。
「タクミのバカっ! シスコンっ! アンポンタ〜ンっ!」
『お嬢っ! 落ち着いてっ!』
「はっ?」
我に戻ったファーランは周囲を見回した。
日曜日と言う事もあるので人の数が多い、よってファーランの叫びは公園中に響き渡り、一斉に呆気にとられた顔でファーランを見ていた。
次第にファーランは顔を赤くするとその場から逃げ出した。
公園を少し出るとファーランはため息を零した。
「はぁ〜、味方もいない、行く所も無い、アタシはカワイソウな女の子〜」
『自分で自分を可哀想なんて言う奴が本当に可哀想な訳ないでしょう、さっさと謝りなさいな』
「うっさい! アンタは黙ってて!」
ファーランは目を吊り上げると前髪からロンを取り外した。
『ちょ、おじょ……』
ロンの機能を止めるとスカートのポケットの中に仕舞った。
「……思いっきり叫んだら喉か湧いた」
気を取り直して辺りを見回すと自販機を発見、小走りに近づくと上着から財布を取り出した。
だがその時……
「や〜い、や〜い!」
振り向くとそこでは1人の小学生くらいの子供が同じくらいの数人の子供達に取り囲んでいた。
「返して、返してよ!」
イジメられている子供は相手から何かを取り返そうとしていた。見て見るとそれは一通の封筒だった。
「何だこんなの、偽物に決まってるだろ」
「ホントだよ! お祖父ちゃんが言ったんだ!」
「嘘つき、嘘つき!」
寄ってたかって弱い者イジメをする子供達を見たファーランは大きく叫んで走り出した。
「アンタ達何してんのよ!」
「わっ、やべ!」
「逃げろーっ!」
イジメッ子達は蜘蛛の子を払うように逃げて行った。その時に持っていた封筒を放り投げた。
「大丈夫? 怪我は無かった?」
ファーランは落ちた封筒を子供に手渡した。
「はい」
「あ、ありがとう」
子供はそれを受け取った。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki