SAⅤIOR・AGENT
「マイ、大丈夫? しっかりして! 死んじゃダメっ!」
「勝手に殺さないで!」
縁起でもない事を言わないで欲しい、助けてくれてなんだとは思うけど、私が地面に倒れたのは不破さんにも原因があるってのに……
私がそう考えながら立ち上がると仙道会長も蹴られた箇所を抑えながら立ち上がった。
「ぐっ…… このぉ!」
「不破さん! 会長がストーカーだったのよ! そして水城先輩は体育倉庫の中よ!」
「分った!」
「くそっ!」
仙道会長は私達に背を向けて逃げ出した。
だがその時だった。
旧校舎の角を曲がりかけた時、仙道会長の足が止まった。
そして後ろ向きにゆっくりと私達の方に戻って来た。
一度逃げ出した仙道会長がなぜ戻って来たのか、その訳はすぐ分かった。
「惚れた女を捨てて逃げ出すなんざ、男の風上にも置けねぇふてぇやろうだな」
出てきたのはセイヴァ―・アームズの切っ先を向けた兄貴だった。
「兄さんっ?」
「よう、我が妹よ。土産買ってきたぞ」
兄貴の左手には紙袋が握られていた。
って言うか帰って来るの数日後じゃなかったの?
「千鶴ちゃんから全部聞いてテレポートで返って来たぜ、俺も色んな悪党見て来たけど、こいつほどムカツク野朗は見た事ねぇぜ!」
兄貴も仙道会長が許せずに眉を吊り上げた。
逃げ場を失い、まして人を脅かす事しかできない仙道会長にはもう抵抗する術がなかった。
「な、何でだよ…… お前らには関係無いだろ!」
追い詰められた仙道会長はついに化けの皮がはがれてわめき散らした。
「僕は彼女が好きなんだ! ずっと彼女と一緒にいたいだけなんだ! 彼女は僕だけのものだっ!」
「ふざけないで!」
私は立ち上がった。
「アンタなんかに水城先輩を好きになる権利なんかない! 彼女が…… 水城先輩がどれだけ目に見えない恐怖に怯えてたと思ってるのよ?」
「その通り、女の気持ちを分らなねぇ奴が、軽々しく好き何て言うんじゃねぇ!」
兄貴がセイヴァ―・アームズを振るうと金色のレーザー・ブレードが仙道会長を切り裂いた。
「ぐああああっ!」
光の粒子となって消えてゆく仙道会長、
すると丁度体育倉庫の中から出てきた不破さんが水城先輩と一緒に出てきた。
「み、水城…… 君…… ぼ、僕は…… 僕は本当に君が……」
仙道会長はよろめきながら水城先輩に近づこうとする、
でも水城先輩は怯えながら不破さんの後ろに隠れた。
やがて仙道会長は完全に消滅、ゼルベリオスに強制転送されて事件は幕を閉じた。
その後、転送された仙道会長は突然の海外転校として学校側から処理された。
そしてセイヴァ―・エージェントの調査により彼の犯行に加担した異星人達は万引きやカンニングなどを仙道会長のサイコメトリーで知られて脅迫されていたと自供した。
彼らは幸い強制転送にはならなかったものの、里中先生から軽いお仕置き(不破さん曰く拷問に近い)で済まされたと言う、
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki