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 それから数日後、
 私と水城先輩は保健室にやって来た。
 仙道会長がいなくなって新たに水城先輩が生徒会長を引き継いだ。さらに私は庶務として生徒会に入った。
 2年の庶務だった先輩が生徒会に入り、一人かけたので水城先輩に生徒会に入らないかと誘われた。
 最初はそんな大変な役職は私には無理だと思い、断ろうと思ったのだけれども、水城先輩にどうしてもと言われ、さらに兄貴から『別にいいんじゃないのか』と、里中先生からは『色々な事を経験した方が人生の役に立つわよ』と言われて今期だけ引き受ける事になった。
 もちろん生徒会の仕事は大変だった。庶務なのでやる事は多いし、分らない事だらけだけれども、水城先輩のおかげで今では何とか形になってきた。
「シロガネさん、そちらは終わりましたか?」
「はい、こっちは終わりました」
 今日は保健委員と一緒に校内に虫歯予防のポスターを張っていた。
「お〜い」
 するとそこへ手を振りながら兄貴と不破さんがやって来た。
「こっち終わったぜ」
「終わったよ〜っ!」
「ご苦労様です。本当にいつも助かります」
 水城先輩は頭を下げた。
 すると兄貴は手を振った。
「気にすんなって、妹の手伝いだ」
「友達を助けるのは当たり前だよ」
 この2人は生徒会では無いけどこうして仕事を手伝ってくれている、これが私が生徒会の仕事に慣れたもう1つの理由だった。
「それに、とっても奇麗で美しい生徒会長様とお近づきになれたんだ。ほおって置いたら男が廃りますって」
「まぁ……」
 水城会長は顔を赤くしながら微笑した。
「何よ、あのバカ……」
 確かに水城会長に笑顔が戻った。それは良い、だけど私は何だかつまらなかった。
 私がどんな顔をしているのか分らない、するとそれを察した不破さんが私の背中に手を触れた。
「大丈夫だよ、生徒会長と妹って言ったら妹の方がフラグ立ってるって」
「どこのギャルゲーよ?」
「そうだぜ舞」
 すると兄貴がステップを踏むように私に近づくと肩に手を回した。
「俺はお前を見捨てたりはしないって、何せこの2年間お前の事を考えて……」
「調子に乗るな!」
 私はこのシスコン兄貴のみぞおちに肘家をかました。
 兄貴は苦笑いしながらその場に蹲った。
「2人とも行きましょう」
「えっ? でもお兄さんは?」
「このくらいじゃ死にませんよ、それよりまだ張らなきゃいけないポスターだってあるんですから」
「ちょ、ちょっと舞? 舞ちゅわ〜ん?」
 声の裏返ったバカ兄貴を尻目に私は2人を連れてその場から離れた。

 その頃、宇宙を緑と金の光る球体が飛んでいた。
 中にいるのはファーラン同様、地球に配属される事になったセイヴァ―・エージェント達だった。
 2人は互いのサポーターを通じて会話をしていた。
『全く、お前が寄り道なんかしているからかなり遅れたじゃないか!』
 緑の球体の中にいる者が金色の球体の中にいる者に対して口を尖らせた。
『何言ってんだ。早く行ったところでどうせチヅルちゃんにパシられるんだ。ちょっとくらい寄り道したってバチはあたらねぇよ』
 金の球体の中にいる者が緑の球体の中にいる者に言い返した。
『上司をそんな風に呼ぶな! 班長と言え!』
『地球じゃ学校の教師やってんだから班長なんて言ったら帰って怪しまれるぜ』
『ケジメは必要だ』
『本当に固い奴だよお前は、心配すんなって、オレとお前なら充分遅れを取りもどせっから』
『ふん』
 そんな話をしながら2つの光は漆黒の宇宙を飛んで行き、目的地である地球を目指して飛んでいた。