SAⅤIOR・AGENT
そして時間が流れておよそ15分後、美佳ちゃんが入院している病院にやって来た。すると入り口の側にはパトカーが止まっていた。
私はお釣を貰ってる暇が無いので今月の生活費の一万円を出して病院の…… 美佳ちゃんの病室を見上げると昨日美佳ちゃんが顔を出していた病室の窓が割れていた。
「美佳ちゃん!」
私は急いで病院に入る、ロビーを突き抜けて突き当たりにあるエレベーターのボタンを押したけれども待っていられなかった私は階段を2段飛ばしで走って行った。
そして美佳ちゃんの病室がある階では警察やマスコミ達で溢れかえっていた。そして美佳ちゃんの病室に立ち入り禁止のテープが張られていた。
「う、嘘……」
私はその場に膝を着いた。
「おい、舞?」
すると私の肩を誰かが手を乗せた。
振り向くとそこには置き去りにしてきた兄貴がいた。
「何があったんだ?」
「に、兄さん……」
私は立ち上がって兄貴の上着の胸元を両手でつかむと目から涙が溢れ出した。
「お、おい?」
「ううっ……」
私は声を殺して泣いているだけだった。
兄貴はあそこじゃ落ち着かないだろうから表に私を連れ出した。
ある程度泣いて落ち着いた私は兄貴に事情を話した。
すると兄貴は受付の人に事情を聞いて来てくれた。
どうやら美佳ちゃんは誘拐されたらしく、血液が届かなくて手術は中断と言う事を知らせようとした担当医が病室に入ろうとすると、突然ガラスの割れる音と悲鳴が聞え、扉を開けると美佳ちゃんの姿が無かったと言う、
「ねぇ兄さん、この事件も異星人が絡んでるんでしょう?」
「まぁ、確かに地球人にはできないな……」
「じゃあ美佳ちゃんを助けて!」
私は叫んだ。
「何で美佳ちゃんがこんな目に会わなきゃいけないのよ? 折角病気が治る血液が手に入ったのに、その血液が奪われて…… どうして今度は攫われなきゃいけないのよ?」
私は拳を握り締めた。こんな事をした異星人を私は許せなかった。
『モーキ星人は一度覚えた血の味を頼りに同じ血液型の人間を探し出せる能力を持っている、恐らく奪った血液を捕食してマイの友人の血液型の匂いを嗅ぎ取ったんだろう』
ギルが言ってくる、
「何とかして探せない? その異星人がどこに潜伏してる場所とか……」
「無茶言うな、そう言うのはオレ達には専門外だ」
「どうしてよ? アンタ達セイヴァ―・エージェントなんでしょう? 何とかしなさいよっ!」
「バ、バカ! 声がでかい……」
「何度だって言ってやるわよ!」
私は兄貴の胸倉をつなんで背伸びして顔を近づけた。
「アンタは異星人を検挙する為に帰って来たんでしょう? そいつが悪い事してるのに何で捕まえられないのよっ?」
「いや、それは……」
「うっさい! 言い訳すんなバカっ!」
「舞…… ん?」
すると兄貴は私の左腕を見た。
「お前…… あのブレスどうした?」
「えっ? 美佳ちゃんに貸したけど…… そんな事どうでもいいでしょう?」
『待て2人供!』
するとギルが私達を止めた。
「どうした?」
『ブレスレットの反応がここから南西の…… かなり遠い方角から感じ取られた』
「「えっ?」」
私達は顔を見合わせた。
『あのブレスレットはマイが何かあった時の為にゼルベリオスから転送された発信機付きの万能ツールだ。それを貸したと言う事は……』
「そうか、その子の居場所も分かるって事か! よし、行ってくるぜ!」
「でもどうやって? 場所が遠いんでしょう?」
「心配無い…… ギル、アレをやるぞ」
『お、おい、タクミっ!』
私達はいったん表に出ると病院の裏手の駐車場にやってきた。そして周囲を確認する、
「よし、誰もいないな」
「一体何をするの?」
「瞬間移動」
私が訪ねると兄貴は言った。
「瞬間移動って…… そんな、漫画じゃないんだから……」
「現実に出来るよ。まぁ、オレ自身あんまり上手じゃないけど、ギルのナビが有ればどうにかなる」
こんな状況で嘘をつくとは思えない、
すると兄貴はギルを首から外した。
「じゃあ行って来る!」
「あ、待って!」
「ん?」
「さっきは…… ごめんなさい」
私が謝罪したのはさっきの兄貴への八つ当たりだった。別に兄貴が悪い訳じゃ無い、悪いのは美佳ちゃんを攫った異星人なのに……
「……いつもの事だろ、お前のツンデレは」
「ツ、ツンデレじゃないっ!」
こんな時に何言ってんのよバカ兄貴!
「待ってろ、今お前の友達助けて来てやる!」
兄貴は一旦目を閉じた。
「転送開始!」
途端ギルから眩い光を放つと私は目を開けてられなくなって目を閉じた。
次に目を開けた瞬間、兄貴達の姿は無かった。
「頑張って……」
私は戦いの場に向かった兄貴に祈った。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki