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『終わりだぜ、セイヴァー・エージェント』
 グロームは残忍に笑う、だが笑うのはこっちだった。
「間に合ったか」
『何?』
「馬鹿はテメェだって事だよっ!」
 俺は左手でグロームの腕を掴み抑え腹から離すとグロームの水月に膝蹴りをお見舞いした。
『グハッ!』
 くの字を描いて相手が怯むと胸倉を?んでいる手が離れ、俺はすかさず野郎の顎にアッパーカットを食らわせた。
『グアアアっ!』
 俺の渾身の力を込めた一撃がグロームを天井スレスレまで吹き飛ばすと今度は奴が床に倒れた。
『テ、テメェ…… どうして?』
「ベラベラと喋り過ぎなんだよ」
 俺の身体はゼルベリオスの科学技術で復元され、その時に星の毒素や病に適応する為にその場で抗体を生成する事ができる、時間が掛かるってのが難儀だけどな、
「惑星トドカの神経毒か、こいつを口の中に仕込んで置いたって事か……」
『チッ! だったらもう一度食らえ!』
 グロームは口からあの緑の気体を吐き出した。まるでスプレーのように噴射するがそんな物俺にはもう通用しなかった。
『なっ?』
 野郎は驚いて後ずさりした。
「さっきは良くもやってくれたな!」
 俺は指の関節を鳴らすとグロームの顔に正拳をお見舞いする、
『グガアッ!』
 グロームはある物を吐き出した。
 それは金属のカプセル状の物体だった。これに毒を入れ口の中に仕込んで置き必要に応じて使ってたって事か、
「うらあああっ!」
 俺が奴の全身に連続パンチを繰り出して怯ませると止めにハイキックをお見舞いした。
『ぐおおおっ!』
 グロームはゴムボールのように転がった。
 俺は後ろに転がっているセイヴァー・アームズを手に取ると金色の光の刃をグロームに向けた。
「ガロン人・グローム、逮捕する!」
『ウ、ウオオオォォ―――ッ!』
 猛り狂いながらグロームは俺に突っ込んできた。
「エネルギー全開っ!」
 俺はセイヴァ―・アームズを構えて突っ込む、そして突き出したグロームの爪を交わすとすれ違い様に光の刃で奴の腹を切り裂いた。
『ギャアア―――ッ!』
 グロームは粒子状に分解されてゼルベリオスに護送された。
「ぐっ……」
 俺はその場に膝を着いた。だけど俺にはまだ重要な事があった。
「ぐっ、くそ……」
 体が思うように動かない、
 毒の効果ではなく奴から受けたダメージがまだ残っていた。
『無茶をするな、動けば回復が遅くなるだけだ』
「何分くらいだ?」
『ダメージはかなり深い、完全じゃ無くとも動けるようになるまでには時間が掛かる』
「チッ、殴られるだけじゃ済まないな……」
 守れない約束はするもんじゃない、分かってはいたが辛いもんだぜ……
 俺は雨の音が響く工場の中で大の字に寝そべると動けるようになるまで時を待ち続けた。 
 結局完全に動けるようになったのは日が傾き始めた頃だった。俺は大急ぎで舞との待ち合わせ場所まで全力で駆けつけた。しかし到着した時はもう日が暮れていていた。
 やっぱり舞どころか誰もいない、俺はため息を零して肩を落とした。
 するとその時だ。俺の背中を誰かが触れた。