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 俺は指令を受けたガロン人・グロームの隠れ家にやってきた。そこは舞の住んでる町から駅を5つほど超えた町にある廃工場だった。俺の周りには20体近いガロン人が牙を剥いて俺に襲いかかろうとしていた。
 耳元まで裂けた口から見える鋭い牙、尖った耳に逆立った髪、黒いゴーグルのような単眼に5本の指に長く伸びた爪を持つ捕食型生物が進化したガロン人は血の気が多く獰猛で有名だが特に指令書にあったグロームとその数名は幾つもの星を渡り歩き人々をゲームのように殺害してまわった事でゼルベリオスに捕獲命令が下されていた。
『こんなチンケな星にもセイヴァ―・エージェットがいるとは思わなかったぜ、全く面倒くせぇな』
 俺の目の前にいる一際体の大きなグロームが吐き捨てる、
「面倒なのはこっちのセリフだぜ、今日はデートの約束があったってのに、よくも邪魔してくれやがったな」
『ああ、そうかい、そいつは悪かったな…… ならとっとと消えちまいな!』
 グロームが手を翳すと配下のガロン人達は一斉に俺に飛び掛ってきた。
「とっとと終わらせるぞ!」
 俺はセイヴァ―・アームズで金色の刃を出現させるとガロン人達に向かって飛び込んだ。
『ぎゃああっ』
『ぐおおおっ』
 金色の刃に斬られたガロン人達は光となってゼルベリオスに転送される、
「うりゃああっ!」
 最後の部下の腹部に金色の刃を突き刺した。だが……
『グハァ!』
 ガロン人は俺の腕を掴んで口を大きく開けると緑色の気体を吐き出した。
「ぐっ! テメェ!」
 その気体をモロに食らった俺は渾身の力を込めてセイヴァー・アームズを引き抜く、
『ボ、ボス…… 仇を……』
 ガロン人の子分はその場に倒れると光の粒子となって消えて行った。
『ああ、ご苦労だったな』
 仲間がやられたのにも関わらずグロームは余裕の笑みを浮かべていた。
『なかなかやるじゃねぇか、だけどそこまでだぜ』
「はぁ? 残ってんのはテメェだけだろ? 抵抗すると痛い目みるぜ」
『……テメェがな』
「なっ?」
 するとその時だ。俺の足から力が抜けて床に膝を付いた。それどころか全身から力が抜けると俺はその場に倒れた。
「ま、まさか!」
 さっきのガロン人の吐いた気体の事が頭を過ぎった。
『ご明察、最後の名推理って所だな!』
 グロームは動けない俺に近づくと腹に蹴りを食らわせた。
「がはっ!」
 サッカーボールのように蹴り飛ばされた俺の腹に鈍い痛みが走る、床に転がりながら咳き込み激しい吐き気に襲われるが昨日の晩から何も食ってなかったので何も吐き出す事ができなかった。
『ガハハッ、どうしたどうした? さっきまでの威勢はどこにいった?』
「くっ……」
 動けない俺は奴のサンドバックになるしかなかった。 
 俺は壁に叩きつけられてリバウンドすると床に倒れる、そしてグロームの足が俺の頭を踏みつけた。
「ぐっ!」
『ガハハっ! いい気分だぜ、セイヴァ―・エージェントを殴り放題なんだからなぁ!』
 グロームのあざ笑う声が俺の耳に入る、決して麻痺毒という訳では無い、意識がはっきりしている上に視力も聴力も痛みも感じる、出来ないのは体を動かす事だけだ。
「ガロン人がこんなん使うなんて…… 聞いてねぇぞ……」
 ギルから寄せられたデータにも載ってなかった。
『馬鹿かテメェは、戦いがデータ道理に行くかよ、もっと頭も使わなきゃな』
「ハッ、よく言うぜ…… 力押ししかできないガロン人のクセによ」
 俺が皮肉を込めて言い返すとグロームは俺の胸倉を?んで持ち上げた。
『口の減らねぇガキだな、利用出来る物は何でも利用する、それが俺達…… いや、俺が宇宙で学んだ事だ』
「……テメェまさか自分の仲間達を?」
 今の言葉から察するにこいつは仲間をわざと戦わせたって事になる、強い奴を疲弊させて自分はいい所取り、逆に弱い奴には一方的になぶるタイプだ。
「俺が一番嫌いな下衆野朗だな」
『現実的と言ってもらいたいぜ、仲間の換えなんていくらでも効くんだよ!』
 するとグロームは余った左手の鋭い爪を見せびらかすと俺の腹に爪の先を突きたてた。