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 私は着替えを終えて待ち合わせ場所である駅前の広場のシンボルである『星の像』の前にやって来た。
 2メートルはある大きな土台の上に銀色の五亡星が輝いて周りは花壇となっている、
 時間まで20分以上あるけど兄貴の姿は無かった。
「早すぎたかな……」
 私は兄貴を待った。
 待ち合わせ場所に来てからしばらく経った。
 携帯を見ると時間はとうに過ぎていた。
「兄貴……」
 私は携帯を握り締めた。
 やっぱり仕事が続いてるのかと思ったその瞬間……
「ねぇねぇ彼女」
「ん?」
 振り向くとそこには金髪に耳にピアスをつけたいかにもチャラ付いた男が2人、私に近づいてきた。
「誰かと待ち合わせ? 暇だったら俺達と遊ばない?」
 明らかにナンパだった。私は口をへの字に曲げて目を背け無視するが男達は私の肩を掴んできた。
「ねぇねぇ良いじゃん、俺達と遊ぼうぜ?」
「離して!」
 私は男の手を振り払う、
「人を待ってるんだからほおって置いてよ!」
「はぁ?」
 男達は眉間に皺を寄せると鼻で笑った。
「いいじゃんちょっとくらい」
「そうそう、どうせ来やしねぇよ、そんな冷たい彼氏より俺達と……」
「来るわよっ!」
 私は男達に向かって叫んだ。
「なっ……」
 男達は顔を顰めて肩をビクつかせた。
 鏡が無いから私がどんな顔をしているのか分からない、だけど私は手を強く握り締めてさらに言った。
「必ず来る…… 絶対来るんだから!」
 私の目に涙が浮かぶ、
 すると男達は通行人達の視線が気になったのか逃げるように去って行った。
 私は涙を拭うと空を見た。
「……約束したんだから、必ず来るって」
 私は空を見る、するとさっきまで晴れていた空に黒い雲がかかり、案の定雨が降ってきた。
仕方なく近くのテナントの屋根に隠れて雨宿りをした。にわか雨程度だからすぐ晴れるんだろうけど、私は何だか胸騒ぎを感じた。
「兄貴……」
 私は兄貴を信じる事にした。
 だけど私にはあの時の感覚が残ってる、ずっと1人で泣いていたあの日の事を……
「必ず来る、必ず来る……」
 私は自分に言い聞かせると1人、雨が落ちてくる空を見上げた。