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 そして最深部にやって来た。
 目の前にはいかにもって感じの大きな両開き式の扉があった。
「ここかっ?」
 オレはセイヴァー・アームズで縦横無尽に切り裂いた。
「だああっ!」
 右足に力を込めて思い切り蹴り飛ばすと扉が音を立てて吹き飛んだ。
 内部はSF映画の指令室のような作りになっていて複数の異星人達がいた。
 その中に1人だけ違う感じの奴がいた。そいつがシド本人だって事が分かった。
「ビンゴだな!」
 オレはセイヴァー・アームズの切っ先を向けた。
「良くぞここまで…… と言うべきでしょうね、ですがご招待した覚えはありませんよ」
「安心しな、すぐ帰るよ…… テメェを検挙した後でな!」
 オレが叫ぶ。
 すると端末を操作していたオメガ工作員達が立ち上がると懐から警棒のような武器を取り出してオレに襲いかかった。
 だけどオレはセイヴァー・アームズで払うとオメガ工作員達を切り裂いた。勿論α・モードでな。
『ギャアアッ!』
『グアアアッ!』 
 オメガ工作員達はデータ化しながら消滅しゼルベリオスに送られた。
 あっという間に部屋の中はオレとシドだけとなった。
「残るはテメェだけだ!」
 オレは言う。
 しかしシドはクスクス笑っていた。とうとうイカレちまったか?
「初めてですね、ここまでコケにされたのは…… よくもオメガの…… いえ、私の計画を邪魔してくれましたね」
「それがオレ達の仕事だからな…… それより降参しろ、もうテメェを助ける仲間は来ちゃくれねぇぞ」
「御心配には及びませんよ、彼方を倒してディザスターを発射させれば良いだけですからね」
 シドが目を見開く。
 途端体の衣服や皮膚が弾け飛んだ。
 現れたのは黄土色の装甲、つり上がった2つの複眼、両手が鋭い5本の鉤爪となったサイボーグだった。
 ただオレやレン見たいなバイオ・テクノロジー系の改造人間と違い、こいつは人工皮膚や機械などを移植した…… 言わばマシン・テクノロジー系の改造人間だった。
『起動スイッチは私の体の中にあります、ディザスターを止めるならば私を倒す事ですね』
 シドは右手を伸ばした。
 手首が折れると中からガトリング砲が出現、オレに向かって発砲された。
「うおっ!」
 オレはそれを回避すると両足に力を入れてシド目がけて飛び込んだ。
 するとシドは右腿が開くとその中に収納されていた剣を手に取り、オレと刃を交えた。
「おいおい、改造人間の特売セールでもやってんのか?」
『何なら割安で改造して差し上げますよ。勿論代金は…… 彼方の命ですがね!』
 そう言いながらシドはオレの腹を蹴り飛ばす。
「ぐっ!」
 オレはよろけながら後退する。 
 途端シドの左手首が火を噴くと飛び出すとオレの首をつかんでそのまま壁に叩きつけられた。
「があっ!」
 宙ぶらりんの状態で身動きが取れなくなる。
 両手で引き離そうとするがビクともせず、オレはセイヴァー・アームズで切ろうとするがその瞬間、オレの体に激痛が走った。
「ぐあああああっ!」
 奴は高圧電流を流してオレの動きを封じた。
 そして右手をギラつかせてオレに近づいて来た。
「タクミ!」
 するとファーランとバイスが部屋の中に入って来た。
「タクミを放せぇ―――っ!」
 ファーランがレーザー・ブレスを吐き出す。
『フンッ!』
 しかしシドが右手を開いて掌平でファーランの攻撃を弾き返した。
「なっ?」
 ファーランは驚いた。
 勿論今のレーザー・ブレスは全力じゃ無い、だけどファーランの攻撃を防ぐこいつの性能は相当な物だ。
 しかしその隙を狙ってバイスが間合いを詰めると自分のセイヴァー・アームズを下から振り上げる。
 だがシドの両目が怪しく輝くとバイスに向かってレーザーが発射された。
「くっ!」
 顔面に命中する寸前、バイスは首を横に振って振ってレーザーを回避する、しかしそれをシドは狙っていた。
 レーザーは囮、オレを捕まえた左手を振るって指の力を抜くとオレをバイスに向かって放り投げて口が開いて中に高密度のエネルギー光線を放った。
「マズイっ!」
 こいつはオレ達をまとめてやるつもりだった。
 オレは左手を後ろに回してバイスをつかむとテレポートを使って奴との距離を取った。
 ちなみに外れたエネルギー光線はオレ達がいた場所をチョコレートみたいにドロドロに溶かしていた。
 あんなの食らったらマジでひとたまりも無い。
「野郎…… ぐっ!」
 オレはその場に膝を付いた。
 物凄い疲労感がオレを襲う、テレポート連発はさすがに疲れる、ましてやレンの時みたいなドーピング技はもう使えない。
「はああっ!」
 ファーランが床を蹴ってシドに飛び込む。
 激しいラッシュをお見舞いするがシドは紙一重で交わした。
『どうしましたお嬢さん? この程度では私は倒せませんよ』
「くっ……」
 シドは挑発的に尋ねるとファーランの顔が歪んだ。
 長い付き合いだから動きを見れば分かる、ファーランもバイスもレンとの戦闘のダメージが回復していなかった。
 こいつらの動きはいつもより鈍っていた。ある程度のダメージならサポーターが回復してくれるがやっぱりダメージが深すぎたんだ。
『ハッ!』
 シドが剣でファーランの攻撃を払うと左足の脛が迫出てミサイルが発射された。
「きゃあああっ!」
 爆撃されたファーランは床に転がった。
 幸い気を失っちゃいないが戦える状態じゃ無くなった。
 まさに万事休すだ。
「どうやら万策尽きたみたいですね…… ですがごらんなさい、丁度ディザスターのエネルギーが溜まりましたよ」
 オレ達はモニターを見る。
 ディザスターのエネルギー・チャージが完了し、地球に向かって発射されようとしていた。
『もう地球も終わりです、これで私の首も安泰ですよ!』
「止せ!」
 オレは叫ぶ。
 しかしこれ以上どう仕様も無かった。
 そしてディザスターが地球に向かって攻撃を放とうとした時だった。
「んっ?」
 すると地球からある物が飛んできた。
 良く見るとそれはサイモンのヘル・デストロイヤーだった。
『どうやら間に合ったみてぇだな!』
「サイモンっ?」
『こいつはオレ様に任せな! ファーランじゃねぇが、地球はまだまだ面白いモンが沢山ある、ぶっ壊させやしねぇよ!』
「って、お前何を?」
 オレは薄々だが感づいていた。
 ヘル・デストロイヤーは事もあろうか巨大な砲口に跳び込み爆発した。
「うわああっ!」
 ディザスターが大きく揺れた。
 さらにエネルギーが暴発し、ディザスター内で爆発が起こった。
 その影響はこのオペレーション・ルームにまで及んだ。
 端末が火を噴き始め、ディザスター内に退避勧告が流れた。
『バ、バカな…… ディザスターが破壊されるなど……』
 シドがうろたえる。
 するとオレの上着の中にある携帯電話を通ってサイモンが現れた。
 実はこの携帯電話は一見地球製のだが、実はサイモンが作ってくれた宇宙でも話せる携帯電話だった。
 おかげで月にいようが火星にいようが舞と話せる訳だが、サイモンはヘル・デストロイヤーの爆発の瞬間に自分が持ってた携帯に入り込んで脱出、電波を通ってここに来たって所か、本当に抜け目がねぇな。