SAⅤIOR・AGENT
サイモンが表でドンパチやってるれている間、オレ達はオメガの基地に潜入する事に成功した。
オレ達は今サポーターのステルス・モードを使って姿を消していた。
さらに基地の大半がサイモンの迎撃に向かってる為に潜入するのも楽勝だった。
「急ぐぞ、あいつもいつまでも長い間戦ってる訳じゃない」
そう、サイモンの役目はあくまでも敵の引き付けだ。ある程度時間が経てば転送してとんずらする手筈になってる、何時までも戦ってる訳じゃない。
「しかし、秘密裏に動くはずが大ごとになったな」
「仕方ないじゃん、考えてみればアタシ達顔が知られてもおかしく無いんだし、それにコソコソしてたら余計な時間使っちゃうよ」
ファーランの言う通り、連中の情報網を侮っちゃいけなかった。
多分人工衛星や町中の監理カメラをハッキングしたりしてるんだろう、顔がわれてる以上うかつに侵入するのはリスクが高い。
よってオメガはおろか身内すら知らなかったサイモンが趣味で作ったロボットが登場したと言う訳だった。
「だからってもっとマシに造れなかったのか、あいつは……」
「あいつのセンスの悪さは元からだろ」
親友のはずのバイスもあっさり言う。
あいつもゼルベリオスにいた間、オレが教えた娯楽をサイモンも見ていた。
だがあいつは事もあろうに悪役や怪獣の方が好きらしい。
最近は娯楽番組や雑誌にもイケメンが悪役として登場するから女性ファンが多いらしいから珍しくは無いけど……
「ギル、ナビゲート頼むぜ」
『了解!』
ギルはオレの声に反応する。
『そこを左だ。そして右に曲がって真っすぐ!』
ギルのサポートでオレは塩田ちゃんが閉じ込められているだろう部屋に向かった。
『そこだ!』
「うおりゃああ!」
オレは渾身の力を込めて扉を蹴り破る。
ズシンと言う音と供に扉が倒れて中に入る。
「何?」
中にはナビ通り、両手を繋がれた恵ちゃんとあの野郎がいた。いきなり扉が倒れたから驚いていた。
オレはサポーターのステルス・モードををオフにしながら言った。
「よう、久しぶりだな色男」
「貴様……」
「彼女は返してもらうぜ!」
オレ達はセイヴァー・アームズを手に取った。
「くっ!」
レンは顔を顰めながら塩田ちゃんに切っ先を向ける。
だがその一瞬の隙をオレの仲間は見逃さなかった。
まずバイスが猛スピードで飛びだすと飛び蹴りを放つと背中を蹴り飛ばした。
その反動でレンは横転する、続いてファーランは塩田ちゃんを立たせてオレ達の側までやって来た。
あとはオレのテレポートで逃げ出そうって寸法だった。
「彼女は返してもらうぜ、いくぜお前ら!」「そうはいきませんよ」
「何?」
オレ達が後ろを見るとそこにはジンや取り巻きのリザム星人とスクイット星人がいた。
「この基地に侵入するとは命知らずと言うか無謀と言うか…… まぁグロウスを解き放って置きましたから、表のお友達も終わりでしょう」
あっさりと言いやがって……
シドは仮面越しにクスクス笑ってやがる、こうなる事を予測してたって事か?
「ボス!」
レンが叫ぶ。
シドは笑いを辞めてジッと見つめた。
「レン、貴方はまだ娘を始末していなかったのですか? まぁ大方こんな事だろうと思って引き返してきましたが…… ビジネスの時間を損なうと言う事がどれだけ大変な事なのか分かっているのですか?」
「も、申し訳ありません」
「それで、この不始末はどうするつもりですか?」
シドが尋ねる。
するとレンは刹那の間、顔をしかめると眉間に皺を寄せて言い放った。
「ボス、俺に死を与えてください」
「……ほう、あの力を使うと言うのですか? 覚悟の上ですね?」
「ええ、オメガに拾われた命、この時の為に使います」
「いいでしょう…… バド! ヴィロン! 貴方達も助太刀してあげなさい」
「「ハッ!」」
バドとヴィロンは臨戦態勢に入った。
「仕方ない、やるぞ!」
「うん!」
バイスとファーランはオレの横に付いてセイヴァー・アームズを手に取った。
「お前ら、そっち頼むぜ」
「任せろ!」
「アンタは離れてて」
ファーランは恵ちゃんを部屋の隅まで離れさせると臨戦態勢を取った。
「行くぜ!」
オレ達は床を蹴ると目の前の標的に向かって走り出した。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki