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 医療室を出て直ぐ近くにある扉をサイモンが開ける。
 そこは8畳はある青いカーペットが敷かれた広い部屋に白い4本の足の長方形の机と6つの回転椅子、奥の壁には巨大なスクリーンが取り付けられていた。
 向かって左の壁には奥に通じる種類豊富なドリンクバーとグラス、カップ、それを洗浄する食器洗い機があった。
 それを見た千鶴はため息を零してサイモンに向かって目を細めた。
「貴方、本当に良く作ったわね」
「褒め言葉として受け取って置くぜ」
 サイモンは鼻で笑った。
 勿論皮肉だと言う事を分かってでの事だった。
「まぁ良いわ、みんな座って聞いて」
「その前にコーヒー淹れてくるわ」
「あ、アタシはウーロン茶!」
「オレは水で良い」
「ヘイヘイ、チヅルちゃんは紅茶でいいか?」
「ええ、お願いね」
 サイモンは奥の部屋に行ってドリンクバーからそれぞれの飲み物を用意してトレイに乗せて持って行った。
 サイモンも席に座ると千鶴はスクリーンを背に机に手を乗せると本部で受けた命令を言った。
「以前も話したけど、オメガはこの地球をデモ・ストレーションのターゲットにしたわ、その為に組織の幹部を地球に送り込んだわ」
「それってこいつか?」
 サイモンが指を鳴らすと後ろの画面に匠達を襲ったシドの姿が映し出された。
「サイモン、貴方……」
「ちょいと本部からの情報を拝借してな……、
 あ、アクセス履歴は消しといたから心配しなくて良いぜ」
「そう言う問題じゃないだろ」
「全くいつもいつも……」
 千鶴は顔をしかめながら頭を抱えた。
 しかし直ぐに気を取り直すとシドの説明をした。
「こいつの名前はジューカ星人、シド・ガーランド、オメガの幹部にして武器密売エージェントの元締めよ」
「大物じゃ無い、何でそんなのがいんのよ?」
「兵器の実用性をその目で見たかったんだろう、どんなのかは知らんがな」
「兵器の事については探索派のセイヴァー・エージェントが調査中よ……、ただシドには何人かの異星人犯罪者がボディガードとして雇われているわ」
 千鶴はエンゼルを出すとファーランは前髪からロンを、サイモンはベルトからパルスを外し、バイスは左腕のファングを見た。
 エンゼルから情報がインストールされ、匠を襲ったリザム星人のバドとスクイット星人のヴィロンが立体映像で映し出された。
「他にもいると思うけど、リザム星人、バド・リッパーは20の星で300人以上殺してる快楽殺人者、かたやスクイット星人のヴィロン・ダクシンは33の星で500人の誘拐殺人を繰り返した指名手配犯よ…… ただ彼については分からないわね」
 画面が切り替わり映し出されたのはレンだった。
「あらかじめスキャンしたんだけど、地球人と同じタイプの異星人だと言う事しか分からなかったわ」
「ヒューマノイドは結構少ないはずなんだけどね」
「戦争や異常気象かなんかで滅んだ星のやつじゃね?」
「オメガにいると言う事は敵と見て間違いない、出会ったならば戦闘あるのみ」
 三者三様の言葉が返って来る。
 千鶴は一間置いて指令を出した。
「オメガ討伐にはゼルベリオス本星から援軍が寄せられる事になったわ、到着時間は午前0時、そして世界中の戦闘派のセイヴァー・エージェントの中から選抜された者と合同でオメガの本拠地に乗り込み一気に壊滅させる作戦が実行されるわ」
「その中にオレ様達はいるのかい?」
「幸せか不幸か、全員参加よ」
「やったぁ!」
「喜ぶな、地球の危機なんだぞ」
「ぶ〜っ!」
 バイスが眉を吊り上げるとファーランは口を尖らせた。
「とにかく、出発までのわずかな時間、体を休めておいて」
「「「了解」」」
 匠を除く3人のセイヴァー・エージェントは立ち上がった。