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Episode14,突入! オメガ基地



 公園の近くに駐車(本当は違反なんだけど)してあった里中先生の車の後部座席に兄貴を乗せると私も助手席に座って同行した。
 兄貴の場合は普通の病院に担ぎ込んだってどうしようもないのでマンションまで連れて行った。
 地下の駐車場にやって来ると駐車スペースに車を止めた。周囲には1台いくらするのか分からないくらいの高級車が多数止まっていた。
 すると里中先生は左耳にかかる髪を掻きあげるとエンゼルを出した。
「サイモン、着いたけどこれからどうすればいいの?」
『ああ、ちょいと待っててくれぃ』
 途端車の周囲の駐車スペースが光り輝くと車は光の中に消えて行った。

 気がつくと私達は別の場所にいた。
 さっきの駐車場と同じくらいの大きさだろう、天井、壁、床は周囲は光沢を放つ青いタイル張りの部屋だった。奥の方には左右に開く扉がある。
「えっ? えええっ?」
 私は訳が分からなかった。
 さっきの会話のやり取りから三葉さんが何かしたんだと思うけど、何やらかすか分からないあの人に私は状況が読めずにいた。
 するとそんな私を察したのか里中先生がシートベルトを外しながら言っていた。
「サイモンが勝手にマンションの地下に秘密基地を作ってね…… 全く、オーナーに頭下げるのがどれだけ大変だったと思ってるのかしら……」
 里中先生は呆れて愚痴を零した。
 私は苦笑する事しか出来なかった。

 兄貴を車から引っ張り出すと奥の扉が左右に分かれて不破さんと大神さんが現れた。
「タクミ!」
 不破さんが心配そうに兄貴に近付く。
 大神さんは里中先生に近付いて来る。
「班長、準備は出来ています」
「そう、じゃあ案内して」
「こちらです」
 大神さんが里中先生から兄貴を預かると腕を回して扉の向こうへ連れて行った。
 私も着いて行くとSF映画のような作りの廊下を私達は進んで行った。
 そしてある部屋の前にたどり着く、自動ドアなので独りでに開くと部屋の真ん中には機械の土台の上に4つの鉄製のカプセルの様な物体が設置され、土台とチューブで繋がっていた。
 私達のすぐ近くのカプセルの側では三葉さんがカプセルの調整を行っていた。
「おう、来たか」
 三葉さんは私達に振り向く。
 私はこの機械の事を尋ねた。
「オレ様が開発したメディカル・カプセルだ。こいつに入ってれば短い時間で回復できるぜ」
 三葉さんがカプセルの横にある青と緑と赤のスイッチの内、赤いスイッチを押すとカプセルが音を立てて開いた。
 大神さんと三葉さんの2人が狩りで兄貴を寝かせるとカプセルを閉めて今度は緑のスイッチを押すとカプセル内に緑の光が溢れて頭からつま先までをスキャンする。
 途端天井が開いてスクリーンが出て来ると、兄貴の状態を表したのだろうワイヤーフレームの人型が映し出され、右肩、胸部、腰、右足などの部分が赤く点滅した。
「……結構やられたな、タクミがここまでやられるなんてな、こりゃサポーターのヒーリングじゃ完全回復すんのは半月後って所だな、だが!」
 三葉さんは最後に青いスイッチを押した。
 途端暖かい光がカプセル内に溢れた。
「このヒーリング・ライトに当たってりゃ、短い時間で回復できるぜ、タクミなら1時間もしないうちに目を覚ますはずだ」
 三葉さんは微笑した。
 すると里中先生が少々複雑そうな顔をしながら言って来た。
「本当に大丈夫なの? サテライト・ベースのジャンク・パーツから作ったんでしょう?」
「心配ねぇって、オレ様がちょいと弄れば最高のモンが出来上がるよ」
 凄い自信だった。
 確かにこの人なら食玩を惑星破壊兵器に作り変えたって不思議じゃ無い。
「まぁ、確かに今はサイモンの言葉を信じるしかないわね……、タクミ君が回復するまでの間、本部からの命令を説明したいのだけど」
「じゃサロンに行こうぜ、茶ぐらい出すぜ」
「そんなの作ったの?」
「それだけじゃねぇよ、俺様専用のラボやこの医療室の他に訓練場、射撃場、遊技場……   
マンガ図書館にシアタールーム……」
「え、ホント? アタシにも使わせて!」
「後にしろ、それどころじゃないだろうが」
 目を輝かせた不破さんに大神さんが制する。
 って言うか最後の方はいらないだろう。
 冷静に考えて三葉さん1人で、しかも地球に来てから数ヶ月で作ったんだから凄いんだろうけど、この人は黙って作ってたんだから素直に褒める気が全くしなかった。
「じゃあサイモン案内して、妹さんも行きましょう」
「あ、その、私……」
 私は兄貴を見る。
 三葉さんの事を信用してない訳じゃない、だけど今の状態の兄貴の側から離れる事に不安があった。
「お兄さんと一緒にいる?」
「ええっ? わ、私はそんなつもりは……」
「顔に書いてあるわよ」
「ううっ」
 私は何も言えなくなって首を肩に引っ込めた。
「良いんじゃねぇの? 妹はセイヴァー・エージェントじゃねぇんだし」
「確かに、シロガネ・マイは会議に参加する理由は無いな」
「タクミがいない分、アタシ達で頑張るよ」
 三葉さん、大神さん、不破さんは言って来る。
 里中先生は私を見る。
「じゃあ妹さん、タクミ君を頼める?」
「あ、はい……」
 私は頷くと里中先生達は医療室を出て行った。
 扉が閉まると部屋の中は静かになった。
「兄さん」
 私は兄貴を見るとギルを持つ手に力が入った。