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 放課後。
 オレは校門の少し離れた場所で塩田ちゃんを待っていた。
 あらかじめ移動教室だった5組の教室に行って塩田ちゃんの机の中に手紙を入れて置いた。
 舞の迎えじゃないってのが少々残念だけど仕方ない、今回は特別だ。
 授業が終わってから数分後、出て来るのを確認すると彼女に近づいた。
「よう」
「御剣さん」
 彼女の顔がこわばる。
 オレは苦笑しながら言う。
「そう恐い顔すんなって、別に悪い事してる訳じゃないだろ」
「……これ」
 塩田ちゃんは鞄の中から一通の便せんを出した。
 それは確かにオレが出した手紙だった。
「ああ、ここじゃ何だ、こっちへ」
 オレは彼女を連れて近くの公園にやって来た。
 公園には1人もいなかった。
 最近のガキは塾や予備校なんかで忙しいんだろうな、オレが小さかった頃は学校終われば即舞を連れて遊びに出かけたモンだがな。
 オレは彼女を見ながら尋ねた。
「で、どうだ?」
「何がですか?」
 敵意丸出しって感じだな。
 言葉が鋭く突き刺さって来る。
「答えが見つかったのかって聞いてるんだよ」
「………」
 塩田ちゃんは口をへの字に曲げながら目を背ける。
 どうやらみつかって無いらしいな。
「今3時50分、あと7時間と10分だぜ」
「分かってます!」
「おいおい、怒鳴る事ぁねぇだろ」
「……怒鳴ってません」
 塩田ちゃんは静かに言う。
 息を吐いて気を落ち着かせる。
「あのな、何度も言うが…… オレの場合は特別で地球人がセイヴァー・エージェントになるなんてありえないんだぜ」
「そんな事ありません! 私はセイヴァー・エージェントになりたいんです!」
「何でそんなにこだわるんだ? セイヴァー・エージェントになって何がしたいんだよ?」
「それは正義の為で……」
「オレが聞きてぇのはそんな事じゃねぇ、アンタ自身がどうしたいのかって聞いてんだよ?」
「わ、私が?」
「千鶴ちゃんも言ってたけど、ただ犯罪者を検挙してぇなら警察にでもなりゃいいだろ?」
 オレは言う。
 すると塩田ちゃんは右手を握りしめるとオレに向かって目を吊りあげた。
「どうしてそんな事を言うんですか? そんなに私がセイヴァー・エージェントになるのが気に入らないんですか?」
「そんな事言ってねぇだろ、何をどうしたらそうなるんだよ?」
「そうに決まってます、貴方は自分が地球人でセイヴァー・エージェントになれたから、それで自分以外の人がセイヴァー・エージェントになるのが気に入らないだけなんじゃないですか?」
 舞の言った通りだ。彼女は考え過ぎる。
 少しでも自分の考えが異なるとマイナス方面に考えてちまう…… 舞と違ったタイプの子供だ。あいつはツンデレだけどな。
 そんな事を考えていると……
「そんな訳ない!」
「えっ?」
 オレと塩田ちゃんが振り向く。
 すると公園の入口には舞が立っていた。