SAⅤIOR・AGENT
オレ達はベースに戻って来た。
「あ〜ん、最悪〜っ!」
ファーランは自分の頭や肩にかかった雪を払った。
オレも岩壁に背をかけながら雪を払う、
ここに戻る途中に吹雪になったのでオレ達は雪まみれだった。
急いで火を熾して暖をとった。
「寒い〜、お腹減った〜っ!」
「そりゃお前が飛び出すからだろ」
「だって〜」
ファーランは口を尖らせた。
表を見ると吹雪はさらに強くなり、とてもじゃないが食糧を取りに行ける状況じゃ無かった。
するとバイスが火を見ながら言って来た。
「騒ぐな、ない物を嘆いても仕方ないだろ」
「……うっ、ごめんなさい」
ファーランは責任を感じてるんだろう、
「もう言うな、今日はもう休め」
「ん?」
するとその時だった。
サイモンが何かに気付くと表を見る、。
「どうしたサイモン?」
するとサイモンが『ある物』を念動力で洞窟内に入れた。
オレ達の目の前には大量の魚や動物が置かれた。
「何だこれ? 一体どうして?」
「あれだよ」
洞窟の外を見る、
するとそこにはファーランが助けたファニーの子供とその数倍はあるファニーの親がこっちを覗いていた。
大人の方は熊と同じくらい大きかった。
「あの子」
「お礼って事か……」
まるでガキの頃に見た昔話だった。
ファニーの親は自分の子供を助けてくれた礼に食糧を持って来てくれたって事になる、
「ありがとよ」
オレはファニーの親子に向かって手を振った。
その後オレ達はもらった食材をありがたく頂戴した。
数日後、特別ミッションは終了し、オレ達はディノアを後にした。
だけどゼルベリオスに帰還の最中にミッション中に起こった怪獣の事を話したんだけど、
勝手に謎の施設に入った事、怪獣が暴れた事、セイヴァー・アームズを勝手に改造した事でオレ達はこっぴどく叱られた。
しかし結果的にとは言え怪獣を倒して被害を最小限に食い止めた事が認められてその時の事は不問となった。
「はぁ…… ひでぇ目にあったぜ」
「ホント、アレ不可抗力だよね?」
「しかし結果は結果だ。真意に受け入れるべきだ」
「オレは慣れてるぜ、お前らも慣れるんだな」
そりゃサイモンは散々悪戯ばっかりしてるから慣れてんだろうがオレ達はそうじゃない、
「これもチームだぜ」
するとサイモンが体の中から缶ジュースを取りだすとオレ達に渡した。
「お前、いつの間に……」
「細けぇ事気に済んな、それよりミッションは終了したんだ。乾杯しようぜ」
「わ〜い」
「ホラ、バイスも」
「……ふん」
バイスはジュースを受け取るとオレ達と乾杯した。
この時、オレ達は改めてチームとなった瞬間だった。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki