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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「セックスアンドザシックスティーズ」 第六話

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名古屋城の正門前にはたくさんの屋台が並んでいた。その一つ一つを手を繋いで見ながら映子と優介は満開の桜の下を歩いた。
子供達がまだ小学校の頃は手を繋いで夫とよく花見に出かけていた。そんなまだ仲が良かった二人がいつしか離れてゆくきっかけになったことを思い出した。
それはサラリーマンの宿命である転勤に自分が着いて行かなかった事だった。
受験の大切な時期に子供を転校させる事を憂慮して夫に単身で行ってくれるように頼んだ事が「冷たい妻だ」と思わせたようだ。事あるごとにそのときの態度を非難する夫にいつしか愛情を失くしていく自分がいた。

「優介さん、来年もまた一緒に花見が出来るわよね?」
「どうしたんだ?心配事でもあるのか?」
「ううん、そうじゃないの。今年の誕生日で60になるのよ・・・私でずっといいのかって、そう思っただけ」
「馬鹿なことを言ってるんじゃないよ。映子は可愛いよ。他の誰も好きになんかなれないから傍にいてくれよ」
「本当よね?あなたを疑ったりしてゴメンなさい・・・私はどんなことがあってもあなたと離れないから。とっても・・・幸せ」
「俺もだよ。映子が傍にいてくれて幸せだよ」