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てっしゅう
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「哀の川」 第三十三話

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「純一さん、お久しぶりですね。忘れていなかったのね、嬉しいです。まあ、それにしても、立派になられましたね!え~と、二十歳ですか?」
「お母さま、遅れてごめんなさい。ずっと来なくちゃって考えていたんですが、時間がどんどん過ぎてしまって・・・やっと来れました。三年ぶりですね。そうです、今年二十歳で来年一月は成人式です」
「そうなの・・・早いものね、まだ高校生だったからね・・・思い出しますわ」
母親は涙ぐんでしまった。来てくれるとは思っていなかったから、余計に嬉しかった。早速お墓に案内してくれた。

「純一さん、お連れの方は・・・お母様と妹さん?なの」
「紹介が遅れました・・・婚約者の由佳とそのお母さんです」
「あら、そうだったの!きれいなお嬢様ね、山本の母です。わざわざお越しいただきましてありがとうございます。純一さんのことは忘れたことがありませんのよ。とても素敵な青年でしたから・・・婚約者ということは、これから家族になられるのですね、引き続きよろしくお願いしますね」

母親は、由佳と潤子に丁寧に挨拶をした。潤子は同じぐらいの年齢なので、子供を亡くした母親の心境が痛いぐらいに感じられた。お墓の前で、手を合わせ、覚えている般若心経を潤子は唱えた。その声に耳を傾け、目を閉じて生前の環を思い出していた。