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しっぽ物語 10.青ひげ

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「病院に女が運び込まれた。女は頭を殴られて、自分の素性に関する記憶がない。けれど不思議と人をひきつけるところがあって、何をするでもないのに入院患者たちの尊敬を集めてる。教会病院に舞い降りた、現代の聖女だ」
「これが発売されたのが昨日」
 もう一枚、隅の方に乗せてあった紙を滑らせる。
「で、こっちがそのクソッタレな記事を書いた奴が今日送ってきたメールだ」
 手に取り、乾燥した眼に映す。文章は羅列として頭へ入ってくるのに、内容がさっぱり汲み取れない。
「ご子息の交友関係に関わる重要な案件」
 そのまま読み上げ、Gは顔を上げた。
「何の話だ、これは」
「俺が聞いてるんだ!」
 勢いよく身を乗り出せば、10日間の入院生活で分厚さを増した腹が、デスクの縁に食い込む。小さく身震いしたガラスは、乗っていたゴールドのペンを床に振り落とした。
 身を竦めたまま、それでもGは頭を抱え込んでしまったLが放つ不明瞭な言葉を聞き取ろうと必死に努力をした。けれど整髪量で膨らませた髪は指の間から零れ続け、いよいよ表情を隠してしまう。
「またFが何かやらかしたのか」
「私が把握してる限りでは、何も」
 唸りの合間に聞こえてきた言葉に、努めて冷静な声色を返す。
「最近は大人しくしてる」
「だがこいつは違うと」
 血走った瞳での上目遣いは、均衡の綱のど真ん中に辛うじて留まっていた。
「俺にはこう読めるんだがな。Fがしたことをもみ消すために俺とBが共謀して、その天使を監禁してるって」
 Gは再びプリントアウトを持ち上げた。やっと稼動し始めた回路でその通りの結論を組み立て、首を振る。
「事実無根だ」
「それを確かめるために、さっきFを呼んだ。じき来るだろう」
 ぐったりと手の甲に顔を押し付け、再び目を閉じてしまう。憔悴しきった顔は2週間前の退院間際、医師から授けられた忠告を記憶の底から浮かび上がらせた。『もうしばらく、あまり興奮するようなことは避けられたほうがいいですよ。根をつめすぎるのもいけません』
「おまえ、変なところで甘いからな。そのうち何かをしでかすと思ってたが」
 舌打ちに失敗し、捲りあげただけの結果に終わった唇の隙間から、Lは言葉を吐き捨てた。
「なんでそんな訳の分からん野郎をうろつかせたんだ」
「まさかこんなことになるとは」
「先のこと考えて処理するのがおまえの仕事だろうが」