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ながっちょ
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失恋天使

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3. spring



外はすっかり春だ。

数学の問題もポカポカあったかいような気がする。

少しカーテンが開いていて、俺の机のところだけ日が差している。

日差しが眩しい。

あれから数ヶ月たって、高校二年生になった。

時が経てば劣化すると思ったこの思いも相変わらず俺の心に居座る。

廊下で優菜の声が聞こえるたび振り向かないようにするので必死になっている自分がいる。

優菜とは違うクラス。

それだけで負担は軽くなったけど、復縁への道が遠くなったといえば遠くなった。

今でもメールはしている。

俺からメールしないとメールはしてこないけど、それでもふられてすぐの時よりだんだん友達に近づいている。

嬉しいのか。寂しいのか。

「それじゃあこの問13終わった人から昼休みにしていいぞー」

数Ⅱの倉持先生が教卓の前でクラスに言った。

先生が黒板を消し終わってプリントを片付けるまでにほとんどの人が弁当の準備をしていた。

「孝宏~ 飯食わね~?」

同じサッカー部の泉やら、俺の絡んでいる人たち10人くらい。

まぁ。ほとんどの男子で飯を食う事になった。

「最近、鈴木さんエロくね?」

誰かが決まってこういう話をする。

「エロい。エロい。 なんか誘ってるよね~」

「でも高校デビューらしいよ。中学の卒アル見たやつが言ってたんだけど、陰キャラらしい。」

「マジかー!!」

そんでみんなショックをうける…

「泉って付き合ってんの?」

マジか!と場の空気が一気にあったまった。

「どこまでイッた?」

また下ネタ… 泉はすかさず。

「まだそういうのじゃないから!」

いつも通り他人の事をいじり倒す会話。

それから話が展開していって俺の話になった。

「孝宏はさ~まだ菅原さん好きなの?」

えっ? と言葉をつまらせていると。

「孝宏から菅原さんオーラが出てるよ。」

周りにバレるくらい好きオーラが出てるのか。また別の奴が。

「そうそう!未練オーラがね。」

その流れで俺の恋愛の話になった。

「そもそもラブラブだったのになんで別れちゃったの?」

そこから尋問が始まった。

「部活で忙しくて連絡とれなくてさ。 俺は大丈夫だったんだけど、あっちが寂しかったみたい。 無理に会えばよかったんだけど。 やっぱり俺が悪いんだけど。」

「でも嫌いになったわけじゃないから頑張ればいけるって!」

そう言ってくれるんだけど本当なんだか…?

そこから「どこまでいった?」とか「メールしてんの?」とか聞かれて。

「もういいじゃん。」苦笑いでつっこむと。

みんな冷めたようで弁当を食いはじめた…

たぶん俺が冷めるまでこのいじりは続くから慣れなきゃだめだな。

思い出を引っくり返されるのは辛いけど、そうでもしないとまた優菜と付き合えるとは思わない。

だから耐えなきゃ…

作品名:失恋天使 作家名:ながっちょ