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ながっちょ
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失恋天使

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4. play



飯を食べ終わり5、6時間目の授業を耐え抜き、やっと勉強から開放された。

「じゃあねー」「うん。明日ー」
そんな声が飛び交う中、教室の後ろにかけてある部活着をとって更衣室に行くために教室を出た。

廊下のずっと奥に優菜の姿見えた。

この教室3部屋分の距離がものすごく虚しくて、遠い。

そう階段を降りて校庭に向かった。

すっかり気付いたら春だな。

ついさっきまで、校庭の隅っこの日陰に溶けかけの雪が残っていたような気がする。

「先輩こんにちはー」

後輩に挨拶を返し、更衣室にいるであろうチームメートに絡みにいった。

「孝宏!逆サイ!空いてる!空いてる!」

人が走る音。 それに気を取られずにボールの転がる音だけに集中している。

足元から逆のサイドを走っている桜井にスルーパスを出した。

桜井がそのまま駆け上がり、中にクロスをあげる。

低い弾道は相手の予想を裏切り、フリーになった泉が後ろから走ってくる。

その様子を見ただけで素人だってゴールのイメージは出来るが泉も裏切った。

ボールは泉の足を嫌い。高くクロスバーを超えていった。

ピーッ! ピーッ!とホイッスルが鳴る。

「終了ー!! 二年生は一年とトンボかげしてー。 それで各自クールダウン!」

部長の命令で校庭の隅っこのたくさん木がはえている倉庫に向かった。

先輩達はボールやらビブスやらを片付けている。

そこをパーッとトンボを走らせた。

「お疲れ様でーす!」

二年はもちろん一年も先輩達に挨拶をして、トンボを片付けて行く。

泉と一緒にトンボを片付けて更衣室に戻ろうとしたとき泉がこんなことを言ってきた。

「孝宏さ。そろそろ遊びに誘ったら?」

「ん?なんの話?」

「菅原さんの事。菅原さんモテそうだから、誰かに狙われるんじゃない?」

「やっぱりそうだよね?」

誰かに言われるまでに気が付いていたけど、俺のもんじゃないから声かけたいんだけど。

機会がないんだ。

「もうメールしなきゃ! 友達じゃやだろ? もう一度戻りたいんでしょ?」

泉の顔は笑ってて、俺の背中を押すには充分な笑顔だった。

その笑顔に押されて。

「うん。今晩メールしてみる。」

「おう! 頑張って! なんかあったらメールしてよ!応援するから。」

「ありがと!」

その話が終わる頃には二人とも制服で更衣室から出ていた。

「じゃあね!」

「おう!あしたー」

泉と校門でいつものようのに別れて駅のほうに向かう。

車がライトをつけながら俺の右を行ったり来たりしている。

まだ日が落ちるのが早い。

暗くこの前のメールの事を考えてみた。

優菜とのメールではなく。

小嶋絵梨という女友達とのメール。

絵梨は優菜との中学時代からの親友らしくて、絵梨がキューピット役になってくれたおかげで、付き合うことができたようなもの。

優しい人で俺がふられたときにも「どーしたの?」とか男の友達よりはやく心配してくれた。

今は優菜と復縁するために、また片思い時代と同じようにアドバイスしてもらってる。

そんな相談メールで。

〈 優菜もね、孝宏と別れたくて別れたわけじゃないらしいんだよ。 理由があったの。〉

〈 なに理由って?〉

〈孝宏に言ったらまた孝宏が自分せめるから言いたくない。〉

〈頼む。いって〉

〈あんまりしょいこまないでね。 優菜は孝宏の事を最後まで好きだったんだって。 でも今までとはちょっと違う気持ちになってたし。全然連絡しなかったのが孝宏に悪いなーって思ってたらしくて。 だから一回距離をおきたかったらしい。〉

〈そっか… でもやっぱし寂しくさせたのは俺のせいだよ。〉

〈ほら!またしょいこむ! そういうとこヤダって言ってたよ!〉

〈マジか…〉

〈そんな落ち込まないで。 距離が離れただけだって考えればいいじゃんか! まだ孝宏の事を好きな気持ちは残ってるって!〉

そのメールでどれほど勇気をもらった。

そんなことを考えている間に電車からおりていた。

また車がライトをつけながら俺の右を通って行く。

「ただいまー」

そう言って、二階のへの階段を上がって行く。

ベッドにカバン。ブレザーを投げ捨て、ポケットからケータイを取り出した。

今日、優菜を誘ってみよう。

〈 部活おつかれ(^-^ 今度時間があったら、一緒に遊ばない?〉

そう打ち終えて、すぐ拒否られるのが怖かったのか急いで階段を下りて風呂場へ向かった。

シャワーから出た水が風呂場の床に落ちて弾ける。

告白の前日くらい不安だ。


作品名:失恋天使 作家名:ながっちょ