散々元気出す定食 (グランマ付き)
それにしても、『ぐじ』に焼き肉、とろろにたけのこときんぴら、もう、ヤケクソ気味の定食。高見沢はこれらが散らばって盛り付けられていて、これこそ「散々」の真骨頂かと思った。
しかし、口にして唸ってしまった。一品一品の味が良い。そして互いにコラボし合い、まことにうまいのだ。
「どうだい、お兄ちゃん、元気出てきたろ」
「ああ、おばあちゃん、美味しいし・・・、そうだな、これで活力出てくるかもな」
高見沢は本当にそう思った。すると、おばあちゃんはそれをしっかり耳にして、しみじみと続ける。
「美味しいって言ってくれて、ありがとよ。そんなお兄ちゃんの上司の方って、きっといい人なんだろうね」
うまい『散々元気出す定食(グランマ付き)』を食べ、高見沢は気が緩んでしまったのだろう。ここで一気に噴き出した。
「おばあちゃん、俺の上司が良いヤツって? アイツは最低だよ、アイツはパワハラ専門で、それにナルシスト、部下の業務成果は横取りするし、部下には一切奢らないし・・・、夕べだって、食い逃げだよ、もうやってられないよ」
「ああ、そうなのかい、サラリーマンも大変だね」
おばあちゃんが哀れみのある目で見つめてくる。
作品名:散々元気出す定食 (グランマ付き) 作家名:鮎風 遊