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散々元気出す定食 (グランマ付き)

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高見沢は訳がわからない。「げんきだす定食」だけなら、まだイメージできる。だが、その前におばあちゃんが言った「さんざん」の意味が不明だし、「げんきだす」への繋がりがわからない。
きょとんとしていると、おばあちゃんが「あれだよ」と指を差してくれた。その先を見てみると、壁にお品書きが貼ってあり、そこにそれがあったのだ。
『散々元気出す定食(グランマ付き)』と。

しかし、それを読んでも高見沢はわからない。まず易しそうな方から尋ねてみる。
「グランマ付きって、もしかしたら・・・おばあちゃんのこと?」
「あいよ!」
おばあちゃんは一言吐いて、あとはシレッとした顔で、お茶をすすっている。それでも高見沢は確認のため、さらに訊いてみる。

「ひょっとして・・・今の、この向き合った状態が・・・グランマ付きってこと?」
「イエッサー!」
おばあちゃんが軽過ぎる。そして、さらに。
「お兄ちゃんのお食事の、この一時(ひととき)・・・アテがおともさせてもらうんエ」
熟年サラリーマン、高見沢はこの語尾の「エ」に滅法弱い。二日酔いの脳が余計に攪乱状態に。これ以上、食事を何にするか思考するのも面倒だ。

「おばあちゃん、その・・・散々なんじゃらかんじゃらにしてよ」と決めた。
「あいよ、さんざん定、一丁!」
おばあちゃんは奥の厨房へ声を掛けた。そして、高見沢の前でゆったりとお茶をすすっている。それからのことだ、ゆっくりと話し始めた。