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散々元気出す定食 (グランマ付き)

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「さっ、お兄ちゃん、ここに座って」
おばあちゃんが手招きをして、もう椅子を引いている。

それにしても高見沢、この間の食堂、ホント屋の「嘘一つ定食」、その時は「お兄さん」と声を掛けられた。そこそこ歳を食った高見沢、だいたいこんな「お兄ちゃん」というような呼び方をされた時は、何かが起こる。そんな予感がするのだが、なんとなく若返ったようで嬉しい。
だが高見沢は二日酔いでもあり、「ああ」と無愛想に答え、座った。

「お兄ちゃん、機嫌悪そうだね、どうしたんだい?」
おばあちゃんがお茶を出してくれた。そして、心配そうに訊いてくる。
「いやいや、ちょっとね・・・、飲み過ぎただけだよ」
高見沢は気遣ってくれるおばあちゃんに申し訳ない気分となり、ちょっと照れて、そう返事した。そして、「おばあちゃんのお薦めのメニューはなんなの?」と聞き返した。

「ああ、そうだね、お兄ちゃんに元気を出して欲しいよね。打って付けのものがあるよ、お値段は千五百円で、ちょっと高いけどね」
高見沢は金額がどうのこうのと考えるのが邪魔くさい。しかし、中身は気になる。「おばあちゃん、それって、どんなの?」と尋ねた。

おばあちゃんはそれにはすぐに答えず、高見沢の前にヨッコラセと座る。そして、なぜか自分の湯飲みにお茶を注ぐ。それからそれを一口飲んで、おもむろに喋(しゃべ)る。

「ニッポンイッチャン食堂の名物でね、『さんざん・・・げんきだす定食』って言うのよ」