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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「哀の川」 第三十一話

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「杏ちゃん、しわになるから服脱いで寝よう。傍に居てあげるから、安心して寝て・・・昔僕にしてくれていたように、今度は僕がそうするから」
「純一・・・泣けてくるじゃない・・・そんなこと言って。寂しかったのよ、あなたが由佳さんと仲良くなって・・・お似合いだと解っていても、私の心には純一がずっといるの・・・こんなおばあちゃんになっているのに、情けないって前にも言ったけど、消せないのよ・・・でも、今日で終わりにする・・・私は東京に帰ったらもうここへは帰らない。純一が卒業して帰ってきたときには、きっと伯母として当たり前に迎えることにするから。今度は約束する・・・だから今日は最後に抱いて・・・」
「杏ちゃん・・・由佳のことは好きだけど、女としては物足りないってずっと感じていた。杏ちゃんとの方が感じるんだ・・・由佳に悪いと思うんだけど、若いから仕方ないのかって・・・杏ちゃんがよかったら時々逢ってこうしたいなあ・・・」
「純一、それはダメ・・・今日が最後よ。由佳さんもきっと良くなるよ。女は時と共に相性が良くなってくるのよ。それにまだ17歳よ、解ってあげて。彼女にはあなたしかいないのよ。私のことは、今日でおしまい!解った?」
「・・・うん、そうするよ。杏ちゃんさ、さっきのマスターのことどう思うの?」
「ええ?どういうこと?」
「マスターも独身なんでしょ?杏ちゃんのこと心配してくれていたし、お似合いだって思うけどなあ・・・今度行った時にそれとなく聞いてみるよ」
「ダメよ、そんなことしたら・・・迷惑だから。あの人はね別れた奥さんのこと今でも好きなのよ。だから、私の想いも酌んで、あなたに一緒にいてあげるように話したのよ。そういう人なの・・・」