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最後の魔法使い 第二章 『学者さん』

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夕食の間ジュダは、アレンとディディーに次から次へと食べ物を運んできた。ディディーはひたすら食べるのに夢中だった。アレンは何度もジュダに魔法使いのことについて聞こうとしたが、何日もまともに食べていなかったせいで、スープを口に運ぶ手を止められなかった。とりあえず落ち着いたころには、アレンはスープを3杯と、目の前に出されただけのパンを食べきっていた。あまりに急いで食べたので、固いパンがのどに詰まりそうになった。ディディーもアレンの食べっぷりに目を丸くしていた。
「ごちそうさまでした。助かりました。」アレンは最後のパンを飲み込むとジュダに向かって言った。
「どういたしまして。」ジュダは満足そうに、にこにことした。「スープは口にあったかな?マチルダのレシピには劣るだろうけど。」
「おいしかったです。本当に。」正直、味など気にしてはいなかったが、アレンは一応礼儀として言った。
「そうだろうな。俺の分まで食べやがって。」ディディーが恨めしそうにつぶやいた。ジュダはディディーのつぶやきにはははと笑い、さっさとスープ皿を片づけた。キッチンから、リカーと果物を持ってきて、リカーをそれぞれのマグに注ぐと、ジュダはアレンの向かい側の席に着いた。ジュダはふうため息をついた。ジュダの目がアレンの目と合うと、アレンは不思議な安心感を覚えた。探し物が見つかるかもしれない気がした。
「さて、アレン。君は混乱してるはずだ。」ジュダが口を開いた。「簡単な状況じゃないのは、私もディディーもわかっているつもりだ。何かわたしに聞きたいことはあるかい?」
アレンは頭の中の疑問を整理しようとした。魔法使いについてより、まず先に聞きたいことがあった。
「ロウア―ウェストが…俺の家族が無事かどうか、知ってますか。」
ジュダはその質問に驚いたようだったが、すぐにほほ笑みながら答えた。
「マチルダとジジなら大丈夫だ。今朝あたりに連絡が来たよ。デバイス…私が作った通信機械なんだ…それで彼女たちは無事だから、って君に伝えるように言われたよ。」
アレンはそれを聞いて、安堵のため息を漏らした。「デバイス」のことはよく知らなかったが、都会には田舎者がわからないような発明があるのだろうと思った。
テーブルの隅でディディーはあくびをすると、よいしょ、と立ち上がった。
「俺はもう寝るよ。ジュダさん、いつものソファ使わせてもらうぜ。じゃあな。」居間の方へ向かう前に。振り向きざまにディディーは付け加えた。「アレン、言っておくけどな、ジュダさんは魔法使いについてはロウアー一、いや、この国一詳しいぞ。何でも聞けよ。なんでもしってるからな。」
ディディーがいなくなり、アレンは改めてジュダに魔法使いについての質問を考えた。
「『魔法使い』はおとぎ話じゃないんですか?なんで政府は俺を捕まえたいんですか。」と、まずアレンは聞いた。