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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「哀の川」 第三十話

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翌日少し中華街とか市内を見物して、JR線で新大阪に向かい、新幹線で帰京した。会社も学校も一週間が始まる月曜日を迎えた。三年生になった由佳は、男子がいないので部長の役を押されて成った。前任者の純一と仲がいいとの経緯も考慮になったのかも知れない。一年の計画を新一年生と打ち合わせした。新しく顧問に男の先生が就任した。もう40代ぐらいの教師だったが、前任者の辞退と英語の授業を受け持っていたためか、着任させられたようである。

「皆さんの顧問を務めます、小林真一郎と言います。顧問は初めてですが、頑張りますので皆さん一緒に目標に向かって進みましょう」

小林先生は独身であった。正確には今独身である・・・だ。教師になる前に結婚していたが、離婚して自分の進む道を教師に選んだようだ。女子ばかりの部室は居心地が悪いのか、すぐに退席して、後は任せると言い残していた。年間の計画を立て、今年も菅平への合宿が企画されていた。思い出の合宿がまたやってくる。部長としてみんなを引っ張って行かないといけない今年は、気構えが違っていた。準備に時間を割き、顧問の小林とも頻繁に連絡を取り合っていた。
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由佳は帰り道に朝子と待ち合わせをしていた。ジャズダンスのスクールへ見学に行くためだ。部活が終わる6時以降から始めないと通えないので、地下鉄で一本の渋谷でスクールを探していた。案内してくれた講師はそれはスタイルのよい美人の女性だった。二人は顔を見合わせて、「ここにしよう!」目合わせした。受付で手続きをしている二人に、講師の吉井は話しかけてきた。

「よく似てらっしゃいますね。お嬢様とお母様は」そんなふうに見えるのだろうか・・・くすっと笑って、
「先生、親子じゃないんです」
「ええ?そうなんですか・・・お友達でいらっしゃるのね」
「それも違うかな・・・ねえ、由佳さん」
「はい、なんと言うのかしら・・・お嫁さん?まだ早いかしら、ハハハ・・・」

講師の吉井は驚いた表情をした。「お嫁さん?セーラー服の?」

「先生、私達はそのうちに親子になるんです。息子の今は彼女ですが、卒業したら結婚しようと約束しているので、仲良くしているんですよ。娘がいないから、本当に可愛くて・・・いつも一緒なんですよ、ねえ、由佳さん」
「ええ、おば様といると親子みたいに感じますもの・・・似ているって、初めて言われましたね、先生そう見えますか?」