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スペースコロニーの謎の殺人鬼

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火星までもたない!酸素がたりない



 コロニーの総督は、たいていは長男で性格が達観している。なにごとにもどうじない性格だから、緊急時でも緊張感がない。長所としては冷静になれるからパニックに陥らないくらいだろう。

「ねえ、最近、息くるしくない」
「そうね。ちょっと酸素量を測るわ」
 ナオミは酸素系をみた。徐々に酸素量が少なくなっていることがわかった。それをコロニー総督に告げた。
「このコロニーは大量の水で守られている。そこから酸素を作ればいいのでは。計算によるとなくなるまでには30年。火星までは9ヶ月」
「それが、酸素の量が徐々に少なくなっています。自動酸素供給装置が老朽化しており・・・」
「大丈夫、大丈夫、気にするな」

 リーダーが達観すると、緊急時には全く役に立たない。私たちエミリーとナオミだけで、この緊急時を何とか切り抜けようとしている。

 船外活動するにも宇宙服がない。真空と直射日光に強いロボットもない。どうにもならない。たぶん、外側の水槽から水が漏れている。それを自動酸素供給装置が水の量を減らさないため、酸素を作らなくなった。水の中には多くの微生物がいる。クロレラとかに有害な光線をカットさせた太陽光を放射させ、光合成で酸素を作る。また水からも水素と酸素を分離して・・・。

「ねえ、水素と酸素を再度、融合させればロケットエンジンとして機能する。加速度を感じるけどどうする。9ヶ月かかる火星へ旅が、6ヶ月に短縮する」
「でも、再度計算をしないと。金星の重力で加速する。さらに地球の公転軌道を利用して再度加速する。半年で火星に到着する。でも、半年後には水槽の水は空っぽ。酸素だけではなく、有害な宇宙放射線が貫通する」
「宇宙放射線!もし太陽のフレアが爆発したらいっかんのおしまい」
「どうしよう。私たちは、まだ高校生。未成年の意見なんか聞いてくれない。どうする」
「では、他のコロニーから救助を」
「加速してコロニーとの相対速度が早すぎて、ランデブーが困難」
「どうしよう。総督が達観しているから」

 最悪、水槽の水もれ問題が解決しないと、どうにもならない。








  つづく