赤い傷跡
教室のドアを片手で開けて入った。
中は誰一人いない、みんな部活に行ったり帰ったんだろう。
重い課題を窓際の机におもいっきり乗せた。
「あー、重かった」
あたしは、背伸びをして席に座りバックから筆箱を取り出した。
「さっ!早く終わらせて帰ろう!!」
やる気を出そうと大きな声で黒崎くんにそう言うと、
黒崎くんはいきなりでビックリしたのか一瞬身を強ばらせて「あ、…ああ、」
と返事をした。
(お…ちょっと面白かったかも)
そう思って、目の前の課題を早く終わらせようと作業を始めた。
時刻4時55分
始めてから約30分、課題は半分も終わらなかった…。
「だ、ダメ…、書いても書いても終わらない…。」
あたしはシャーペンを置いて窓の手すりに顎をのせて空を見た。
ここからの景色は体育館がある、屋根には多くのカラスがとまっていた。
「またカラスだ。」
そう言うと黒崎くんも手を止めて同じ様に窓から外を見た。
そんな彼の横顔を見てあたしは思った。