赤い傷跡
「黒崎くんって…、カラスに似てる。」
すると彼は目線を空に向けたまま少し驚いた顔をして、すぐにいつもの顔に
戻した。
「…なんでそう思う?」
「いや…なんか黒いイメージがあるから」
思ったことをそのまま言うと黒崎くんは顔をポカーンとさせて暫くするとぷはっと吹き出して笑いだした。
(笑うとこ初めて見た。)
この顔、亜紀が見ると喜ぶだろうな。
「…お前って変な奴」
「なっ…変じゃないし!!」
未だに笑っている黒崎くんにあたしは課題の紙を彼の机の上にいくつか置いた。
「お、…おい!」
「さっき変な奴って言った罰。」
にやっと笑ってあたしは、作業にとりかかった。
黒崎くんは困ったように頭をかくとシャープペンを回し始めた。
あたしはもう少しスピードを早めようと書きやすいように腕捲りをした。